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古家を売却するときに後悔しないための考え方|解体前に比較したい3つの売り方

古家はそのまま売るべきか、解体して更地にするべきか。相続登記、接道、建物状態、住宅用地特例、相続空き家の3,000万円控除を確認し、後悔しにくい売却方法を解説します。

古家を売却するとき、「建物を残したまま売るべきか」「解体して更地にした方がよいのか」と迷う方は少なくありません。

築年数が古く、雨漏りや設備の劣化が見られると、「建物にはもう価値がない」と考えがちです。

しかし、古家の売却方法は築年数だけでは決まりません。

立地、接道、再建築の可否、建物状態、修繕費、解体費、税金、想定する買主などを比較しなければ、解体した方がよいのか、そのまま売った方がよいのかは判断できないからです。

古家売却で後悔しないためには、最初から解体を決めず、現状売却・古家付き土地・解体後の土地売却を比較することが大切です。

「古家」は法律上の正式な建物区分ではない

「古家」には、築何年以上という全国共通の法的な定義はありません。

一般には、築年数が古く、建物の市場価値が低いと考えられる住宅などを指して使われています。

しかし、築年数が同じでも、建物状態や立地は物件ごとに異なります。

例えば、同じ築50年の家でも、次の条件によって売却方法が変わります。

  • 定期的に修繕されているか
  • 雨漏りや傾きがあるか
  • 現在の建物を改修して使えるか
  • 建築基準法上の道路に接しているか
  • 解体後に新しい建物を建てられるか
  • 土地の形状や面積に需要があるか
  • 家財や未登記部分が残っているか

「築50年だから建物価値はゼロ」「古いから更地の方が売れる」と一律に判断するのではなく、その家の利用可能性を確認する必要があります。

既存住宅流通シェア43.6%の正しい見方

国土交通省の資料によると、既存住宅流通シェアは2023年の40.4%から、2024年には43.6%へ上昇しています。

ただし、43.6%は戸建住宅とマンションを合算した数値です。

2024年の内訳では、既存戸建住宅が33.3%、既存マンションが62.6%となっています。

この数字から分かるのは、新築以外の住宅も一定の割合で取引されているということです。

相続した築古戸建てや、修繕が必要な古家まで一律に売れやすくなったことを示しているわけではありません。

古家が市場で検討されるかどうかは、築年数よりも、土地・建物の条件と購入後に必要となる費用によって変わります。

相続した古家は名義を確認する

相続した古家を売却する場合は、土地と建物の登記名義を確認します。

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。

相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から、原則として3年以内に申請する必要があります。

遺産分割によって取得者が決まった場合も、遺産分割成立日から3年以内に、その内容を反映した登記が必要です。

正当な理由なく義務を怠ると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。

2024年4月1日より前に発生した相続も対象で、以前から亡くなった方の名義になっている場合の最も早い期限は、原則として2027年3月31日です。

査定や接道調査は相続登記と並行して進められますが、買主へ所有権を移転するまでには、売主となる相続人の名義へ整える必要があります。

古家を売る3つの方法

1.中古住宅として現状売却する

建物を修繕して使える状態であれば、中古住宅として売却できる場合があります。

購入後に自分でリフォームしたい方や、建物の雰囲気・間取りを生かしたい方が対象になることもあります。

ただし、建物状態を実際より良く見せるのではなく、雨漏り、傾き、シロアリ被害、設備故障など、分かっている情報を整理することが重要です。

売却前にすべてを修繕する必要はありません。現状での価格と、修繕後に想定される価格を比較して判断します。

2.古家付き土地として売却する

建物の利用価値を積極的には評価せず、土地を中心に販売する方法です。

買主が、建物を改修して使うか、解体するかを購入後に判断できる点が特徴です。

売主が先に解体費を負担しなくて済む一方、買主側が負担する解体費や残置物処分費を考慮して価格を検討する必要があります。

「土地として売る」としても、建物を残して引き渡す以上、建物状態、家財、未登記部分などは事前に説明できるようにしておきましょう。

3.解体して更地で売却する

建物の劣化が大きく、住宅としての利用が難しい場合や、更地を探す買主が多い地域では、解体後の方が販売しやすくなる場合があります。

一方で、解体費を売主が先に負担しても、売却価格が同じだけ上がるとは限りません。

また、解体後に再建築できない土地では、既存建物を修繕して使う選択肢がなくなり、かえって買主が限られる可能性があります。

解体前に接道と再建築の可否を確認する

都市計画区域等では、建物の敷地は、原則として幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。

古家が次のような場所にある場合は、解体前の確認が特に重要です。

  • 路地奥にある
  • 前面道路の幅が4m未満
  • 接道部分が2m未満
  • 私道に面している
  • 道路に見える通路が建築基準法上の道路ではない
  • 私道持分や通行・掘削の権利が確認できない

幅員4m未満でも、建築基準法第42条第2項道路であれば、セットバックによって建替えられる可能性があります。

接道義務を満たさない場合でも、第43条第2項の認定・許可を検討できることがあります。ただし、具体的な建築計画や周辺状況に基づく個別判断であり、必ず認められるわけではありません。

不動産会社から「再建築不可」と聞いただけで解体を決めず、自治体の建築指導担当部署や建築士へ確認することが大切です。

解体後は住宅用地特例へ影響することがある

住宅が建っている土地には、固定資産税などを軽減する住宅用地特例があります。

住宅1戸当たり200㎡以下の小規模住宅用地では、原則として固定資産税の課税標準が価格の6分の1、都市計画税は3分の1になります。

住宅を解体して住宅用地ではなくなると、原則として特例を受けられなくなります。住宅用地に該当するかは、毎年1月1日の状況を基準に判断されます。

そのため、年末近くに解体する場合などは、売却までの期間と翌年度の税負担を確認しておく必要があります。

特例が外れても固定資産税額が単純に6倍になるとは限りません。

土地の評価額や負担調整措置によって実際の増加額は異なるため、所在地の自治体へ確認しましょう。

売却まで空き家の管理を続ける

全国の空き家は2023年に900万2,000戸、空き家率は13.8%となり、いずれも過去最高でした。

ただし、空き家になっただけで住宅用地特例が直ちに外れるわけではありません。

適切に管理されず、管理不全空家等または特定空家等として市区町村から指導を受け、改善されないまま勧告を受けると、その敷地が住宅用地特例の対象から除外されます。

売却を予定している場合でも、引渡しが完了するまでは所有者による管理が必要です。

国土交通省も、当面除却や活用を行わない空き家には適切な管理が不可欠であり、自分で対応することが難しい場合は、空き家管理業者や修繕業者の利用を検討するよう案内しています。

少なくとも、次の部分を定期的に確認します。

  • 屋根、外壁、雨どい
  • 雨漏りや室内の湿気
  • 庭木や雑草の越境
  • 塀や門扉の傾き
  • 窓や玄関の破損
  • 郵便物や不法侵入
  • 給排水設備からの漏水

買主が比較するのは購入後の総負担

古家を探す買主は、売出価格だけでなく、購入後に必要となる費用を含めて判断します。

主な確認項目は次のとおりです。

  • 建物をそのまま使えるか
  • どの程度の修繕が必要か
  • 解体費はいくらかかるか
  • 再建築できる土地か
  • 境界や越境に問題がないか
  • 私道持分や通行条件があるか
  • 家財や残置物がどれくらいあるか
  • 未登記の増築部分がないか
  • 購入費と工事費の合計が周辺物件と比べて妥当か

古家売却では、建物をきれいに見せることだけが対策ではありません。

分かっていることと分からないことを整理し、購入後に必要となる負担を想定しやすくすることが重要です。

相続空き家の3,000万円特別控除を確認する

相続した実家を売却する場合は、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除」を利用できる可能性があります。

一定の要件を満たす場合、売却代金からではなく、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。

現行制度では、2027年12月31日までの譲渡が対象です。

主な要件には、次のようなものがあります。

  • 1981年5月31日以前に建築された家屋
  • 区分所有建物ではない
  • 原則として相続開始直前に亡くなった方だけが住んでいた
  • 相続後、居住・賃貸・事業利用をしていない
  • 売却価格が1億円以下
  • 所定の期限内に売却する
  • 耐震または解体に関する要件を満たす

すべての相続した古家に使える制度ではありません。

解体時期や買主による解体でも適用関係が変わるため、工事契約の前に税理士や自治体へ確認することが重要です。

3つの手取り額を比較する

古家をそのまま売るか、解体するか迷った場合は、次の3つを比較します。

現状で売却した場合

査定価格から仲介手数料、測量費、家財処分費、税金などを差し引きます。

最低限の修繕後に売却した場合

工事費を負担したうえで、どの程度売却価格が上がる可能性があるかを確認します。

解体後に売却した場合

更地の査定価格から解体費、建物滅失登記、整地費、売却までの税負担などを差し引きます。

更地の査定価格が高くても、解体費を引くと現状売却より手取りが少なくなることがあります。

反対に、建物の危険性や修繕負担が大きい場合は、解体した方が買主を探しやすくなることもあります。

古家売却で確認する順番

  1. 土地と建物の登記名義を確認する
  2. 相続登記と共有関係を整理する
  3. 建物状態と修繕履歴を確認する
  4. 道路種別、接道、私道、再建築の可否を調べる
  5. 境界、越境、未登記部分を確認する
  6. 家財を残した状態での査定を受ける
  7. 現状売却・古家付き土地・解体後売却を比較する
  8. 解体後の税負担と利用できる税制を確認する
  9. 最終的な手取り額で判断する

神戸市、尼崎市、西宮市、明石市、姫路市、加古川市をはじめ、南あわじ市、播磨町など兵庫県内でも、古家の適切な売却方法は、立地、接道、土地面積、建物状態によって異なります。

株式会社マイダスでは、相続した古家、築50年以上の戸建て、家財が残った空き家、長屋、文化住宅、再建築不可物件について、名義、接道、建物状態、管理負担などを確認しています。

そのうえで、中古住宅としての販売、古家付き土地としての売却、隣地所有者への提案、現状での直接買取、不動産引取などを比較してご案内しています。

古家は、築年数が古いという理由だけで、解体しなければ売れない不動産ではありません。

一方で、建物を残せば必ず有利になるわけでもありません。

現状で使える建物なのか、解体後に再建築できるのか、解体費と税負担を差し引いても手取りが増えるのかを確認し、複数の売り方を比較することが大切です。

「まず解体する」のではなく、現在の土地と建物をどのような買主が、どのような条件で検討できるのかを確認することが、売却後の後悔を減らす第一歩です。

 

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