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相続した家は売るべき?持つべき?「残す理由」から考える現実的な判断方法

相続した家は売るべきか、そのまま持つべきかを、相続登記、空き家の管理負担、住宅用地特例、既存住宅流通、相続空き家の税制から解説。大阪府内の相続不動産を整理する判断基準も紹介します。

相続した実家を前にすると、「売却するべきか」「思い出のある家なので残すべきか」と迷う方は少なくありません。

家族が長く暮らした家であれば、すぐに手放すことへ抵抗を感じるのは自然なことです。

ただし、売却を決められないことと、名義や管理方法を決めないまま放置することは同じではありません。

相続した家を持ち続ける場合は、固定資産税、保険料、見回り、草刈り、修繕などの負担が続きます。

相続人が複数いれば、将来の利用や費用負担についても合意が必要です。

売るか持つかを考えるときは、まず**「その家を残す具体的な理由があるか」**を確認することが重要です。

全国の空き家は900万2,000戸

総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万2,000戸、空き家率は13.8%となり、いずれも過去最高でした。

このうち、賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家は385万6,000戸です。

ただし、これらの空き家がすべて相続した実家や、長期間管理されていない住宅というわけではありません。

また、全国の空き家が増えているからといって、個々の家が必ず売れにくいとも限りません。

実際の市場性は、立地、接道、土地面積、再建築の可否、建物状態、価格などによって異なります。

この統計から考えるべきなのは「すぐ売らなければならない」ということではなく、利用されない家を、方針がないまま長期間残さないことです。

売却・保有にかかわらず相続登記が必要

相続した家について最初に確認したいのが、土地と建物の名義です。

相続登記は2024年4月1日から義務化されました。相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から、原則として3年以内に申請する必要があります。

遺産分割によって不動産の取得者が決まった場合も、遺産分割成立日から3年以内に、その内容を反映した登記が必要です。

正当な理由なく義務を怠ると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。

2024年4月1日より前に始まった相続も対象です。以前から亡くなった方の名義のままになっている場合、最も早い申請期限は原則として2027年3月31日です。

家を売却しない場合でも、登記義務がなくなるわけではありません。

保有を選ぶ場合も、誰が正式な所有者となり、誰が管理や費用負担を担うのかを明確にする必要があります。

「残す理由」が具体的なら保有を検討できる

相続した家を保有することに合理性があるのは、今後の利用方法や管理体制が具体的に決まっている場合です。

例えば、次のようなケースです。

  • 数年以内に自分や家族が住む予定がある
  • 賃貸や事業利用について具体的な計画がある
  • 定期的に見回りや管理を行える
  • 税金、保険、修繕費を継続して負担できる
  • 相続人全員が保有方針に合意している
  • 利用できなかった場合の見直し期限を決めている

「いつか誰かが住むかもしれない」という段階では、利用計画として十分とはいえません。

誰が、いつから、どのように使うのかまで決まっていれば、保有の意味を判断しやすくなります。

また、「3年以内に利用を始められなければ売却を再検討する」など、見直し時期を決めておくことも大切です。

保有を選ぶと続く負担

誰も住んでいない家でも、所有者には次のような負担が続きます。

  • 固定資産税や都市計画税
  • 火災保険などの保険料
  • 草刈りや庭木の剪定
  • 建物内外の点検
  • 室内の換気や清掃
  • 屋根、外壁、塀などの補修
  • 遠方からの交通費や管理委託費
  • 郵便物、不法侵入、近隣からの連絡への対応

国土交通省も、空き家の適切な管理として、建物の点検、通気・換気、郵便物の確認や整理などを挙げています。

所有者自身で対応できない場合は、空き家管理事業者などへの依頼も検討対象となります。

人が住まない家が時間の経過だけで必ず急速に傷むわけではありません。

しかし、定期的に確認しなければ、雨漏り、漏水、害虫被害、外壁や塀の損傷などの発見が遅れ、結果として修繕費が大きくなる可能性があります。

売却を比較した方がよい家

次のような家は、保有を続けるより、早めに売却条件を確認する方が現実的な場合があります。

  • 自分や家族が住む予定がない
  • 賃貸や事業利用の需要を見込みにくい
  • 遠方にあり、定期的な管理が難しい
  • 建物の老朽化が進んでいる
  • 相続人間で管理費を負担しにくい
  • 共有状態を長期間続けたくない
  • 保有目的や見直し期限が決まっていない

築年数が古い、家財が残っている、雨漏りがあるといった理由だけで、売却できないと決める必要はありません。

古家付き土地として売る、家財が残ったまま直接買取を依頼する、隣地所有者へ提案するなど、物件条件に応じた方法があります。

解体や大規模なリフォームを先に行っても、その費用を売却価格で回収できるとは限りません。

まずは現状で査定を受け、工事をした場合との手取り額を比較することが重要です。

空き家になっただけで住宅用地特例は外れない

住宅が建っている土地には、固定資産税などを軽減する住宅用地特例があります。

200㎡以下の小規模住宅用地では、原則として固定資産税の課税標準が6分の1になります。

誰も住んでいない空き家になっただけで、この特例が直ちに外れるわけではありません。

ただし、適切に管理されず、管理不全空家等または特定空家等として市区町村から指導を受け、改善しないまま勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から除外されます。

特例が外れても、実際の固定資産税額が単純に6倍になるとは限りません。

土地の評価額や負担調整措置などによって金額は異なります。

売却を検討中であっても、買主への引渡しが終わるまでは、所有者として管理を続ける必要があります。

既存住宅流通シェア43.6%の見方

国土交通省の資料では、戸建住宅とマンションを合わせた既存住宅流通シェアは、2008年の29.6%から2024年には43.6%へ上昇しています。

ただし、2024年の内訳は、戸建住宅が33.3%、マンションが62.6%です。

この数字は、新築住宅だけでなく既存住宅も一定の割合で取引されていることを示しています。

一方、相続した古い戸建住宅が、以前より一律に売れやすくなったことを示すものではありません。

相続した家が市場で検討されるかは、次のような個別条件で変わります。

  • 接道と再建築の可否
  • 土地の形状や面積
  • 雨漏り、傾き、シロアリ被害
  • 修繕や設備交換の履歴
  • 境界、越境、私道の条件
  • 未登記の増築部分
  • 家財や残置物
  • 購入後に必要となる工事費
  • 地域の住宅・土地需要
  • 売出価格

「中古住宅市場が広がっているから売れる」「築年数が古いから売れない」と一括りにせず、その家の条件を確認する必要があります。

売却前に3,000万円特別控除を確認する

相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産に係る特別控除」を利用できることがあります。

現行制度では、2027年12月31日までの譲渡が対象です。2024年1月1日以後の譲渡で、対象不動産を取得した相続人が3人以上の場合は、一人当たりの控除上限が2,000万円となります。

すべての相続住宅に適用される制度ではなく、主に次のような要件があります。

  • 1981年5月31日以前に建築された家屋である
  • 区分所有建物ではない
  • 相続開始直前に、原則として亡くなった方以外が住んでいなかった
  • 相続後に居住、賃貸、事業利用をしていない
  • 相続開始から一定の期限内に売却する
  • 売却代金が1億円以下である
  • 耐震基準や取り壊しに関する要件を満たす

保有する間に家族が住んだり、第三者へ貸したりすると、特例を利用できなくなる可能性があります。

「とりあえず貸してから考える」と決める前に、売却した場合の税制も確認することが大切です。

三つの金額を比較すると判断しやすい

売却と保有で迷う場合は、次の三つを数字で比較します。

1.今後5年間の保有費用

固定資産税、保険料、草刈り、見回り、交通費、修繕費、管理委託費などを合計します。

2.利用する場合の費用と収入

自己居住や賃貸を考える場合は、改修費、設備交換費、募集費、管理費、想定家賃、空室期間などを計算します。

3.現在売却した場合の手取り額

査定価格から仲介手数料、測量費、家財処分費、解体費、譲渡所得税などを差し引きます。

査定価格だけで判断するのではなく、今後支払う保有費用と、活用するための追加費用を含めて比較することが重要です。

相続した家を整理する順番

相続した家は、次の順番で確認すると判断しやすくなります。

  1. 遺言書と相続人を確認する
  2. 土地・建物の登記名義を調べる
  3. 遺産分割と相続登記を進める
  4. 家族が利用する予定を具体的に確認する
  5. 建物状態、接道、境界、私道を調べる
  6. 年間の保有費用を計算する
  7. 現状での査定価格と税制を確認する
  8. 保有・活用・仲介売却・直接買取を比較する
  9. 保有する場合も見直し期限を決める

大阪市、堺市、東大阪市、八尾市、豊中市、枚方市、岸和田市、泉佐野市など大阪府内でも、相続した家の市場性は、立地、接道、土地面積、建物状態によって異なります。

株式会社マイダスでは、相続した実家、築古戸建、長屋、文化住宅、再建築不可物件、家財が残る空き家について、名義、接道、建物状態、管理負担などを確認しています。

そのうえで、一般市場での売却、古家付き土地としての販売、現状での直接買取、不動産引取などを比較してご案内しています。

相続した家を売るべきか、そのまま持つべきかに、一律の答えはありません。

誰がいつから使うのか、誰が管理するのか、どの程度の費用を負担できるのかが明確なら、保有は現実的な選択肢です。

反対に、利用予定がなく、管理と費用だけが続く場合は、早めに売却方法を比較する方が負担を増やしにくいことがあります。

「思い出があるから残す」「古いから売る」と先に決めるのではなく、残す理由と責任が釣り合っているかを確認することが、後悔を減らす第一歩です。

 

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