相続不動産市場で空き家はどう見られる?「残っている家」から「整理が必要な資産」へ
- 新着情報
- 2026/09/06
2026年、相続した空き家は市場でどう見られるのかを、相続登記義務化、全国の空き家統計、管理不全空家、住宅用地特例、既存住宅流通の動向から解説。
兵庫県内の相続空き家を整理するポイントも紹介します。
相続した実家について、「すぐに使う予定はないが、急いで売る必要もない」と考えることがあります。
思い出のある家であれば、売却や解体をすぐに決められないのは自然なことです。
一方、2026年現在は、相続登記の義務化や改正空家法の運用が進み、相続した住宅を名義も管理方法も決めないまま置いておくことには、以前より注意が必要になっています。
相続空き家は、一律に売却すべき不動産ではありません。
ただし、誰が所有し、誰が管理し、今後どのように使うのかを整理する必要がある資産として考えることが重要です。
全国の空き家は900万2,000戸
総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万2,000戸、空き家率は13.8%となり、いずれも過去最高でした。
このうち、賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家は385万6,000戸です。
ただし、この統計には、転勤や入院などで一時的に使用されていない住宅、取り壊し予定の住宅、利用状況を分類しにくい住宅なども含まれます。
900万2,000戸のすべてが、相続した実家や長期間放置された空き家ではありません。
また、全国の空き家が増えているからといって、個々の相続空き家が必ず売れにくいとも限りません。
実際の市場性は、地域の需要、駅や生活施設からの距離、土地面積、接道、再建築の可否、建物状態、売出価格などによって異なります。
2026年は既存住宅を活用する方向が明確に
2026年3月27日、新たな住生活基本計画が閣議決定されました。
計画では、単身世帯や相続住宅の増加などを見据え、既存住宅・住宅地を市場を通じて本格的に有効活用する方針が示されています。
計画期間は2026年度から2035年度までです。
これは、相続した家を必ず売却しなければならないという意味ではありません。
保有、居住、賃貸、売却、除却などの選択肢から、住宅の状態や地域需要に合う方法を選び、利用されないまま管理不全になることを防ぐ考え方です。
したがって2026年の相続空き家は、「古いから市場の対象外」と見られるのではなく、現在の状態と利用可能性を確認し、適切な出口を検討する住宅ストックとして位置付ける方が正確です。
売却・保有にかかわらず相続登記が必要
相続した空き家を整理するとき、最初に確認したいのが土地と建物の名義です。
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から、原則として3年以内に申請しなければなりません。
遺産分割によって取得者が決まった場合にも、遺産分割成立日から3年以内に、その内容を反映した登記が必要です。正当な理由なく義務を怠ると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象です。
未登記の場合は、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。ただし、所有権取得を知った時期によって期限が後になる場合があります。
売らずに保有する場合でも、相続登記の義務はなくなりません。
相続人が複数いる場合は、誰が取得するのか、共有で保有するのか、売却する場合の費用と代金をどのように分けるのかも整理する必要があります。
「空き家になっただけ」では住宅用地特例は外れない
住宅が建つ土地には、固定資産税などの負担を軽減する住宅用地特例があります。
200㎡以下の小規模住宅用地では、原則として固定資産税の課税標準が6分の1になります。
誰も住んでいない空き家になっただけで、この特例が直ちに外れるわけではありません。
ただし、適切に管理されず、管理不全空家等または特定空家等として市区町村から指導を受け、改善しないまま勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から除外されます。
2023年12月に改正空家法が施行されてから2025年3月31日までに、管理不全空家等への指導は3,211件、勧告は378件行われています。制度は注意喚起だけにとどまらず、自治体の実務で運用されています。
なお、特例が外れても固定資産税額が単純に6倍になるとは限りません。
土地の評価額や負担調整措置などによって、実際の増加額は異なります。
空き家を保有するなら管理が必要
相続空き家を当面保有すること自体は可能です。
ただし、人が住まない住宅は不具合を発見しにくくなります。
国土交通省も、建物内外の点検、通気・換気、通水、清掃などを定期的に行うことが必要と案内しています。
保有中は、少なくとも次のような対応を考えます。
- 屋根、外壁、塀の確認
- 室内の換気と水回りの通水
- 草刈りや庭木の剪定
- 郵便物の整理
- 雨漏りや害虫被害の点検
- 台風や大雨の後の見回り
- 火災保険や固定資産税の管理
遠方に住んでいる場合は、親族や空き家管理事業者へ依頼する費用も保有コストに含めます。
「使わないため費用がかからない」のではなく、使わない住宅を維持するための費用が続くと考える必要があります。
既存住宅流通シェア43.6%の正しい見方
国土交通省の資料によると、既存住宅流通シェアは2008年の29.6%から、2024年には43.6%へ上昇しています。
ただし、43.6%は戸建住宅とマンションを合わせた数値です。
2024年の内訳を見ると、戸建住宅は33.3%、マンションは62.6%であり、住宅の種類によって流通状況には大きな違いがあります。
したがって、既存住宅流通シェアの上昇を理由に、「相続した古い戸建ても売れやすくなった」と判断することはできません。
この数字から分かるのは、新築だけでなく既存住宅も一定の割合で取引される市場になっているということです。
相続空き家が実際に比較対象となるかは、次のような条件によって判断されます。
- 接道と再建築の可否
- 建物の雨漏り、傾き、シロアリ被害
- 耐震性や修繕履歴
- 境界、越境、私道の条件
- 未登記の増築部分
- 家財や残置物
- 地域の住宅・土地需要
- 購入後に必要となる修繕費
- 売出価格
築年数だけでなく、買主が購入後の利用と負担を判断できる材料がそろっているかが重要です。
市場で不安を持たれやすい相続空き家
相続空き家の売却で問題になりやすいのは、「空き家であること」そのものより、分からないことが多い状態です。
例えば、次のようなケースです。
- 土地・建物が亡くなった方の名義のまま
- 相続人や共有者の売却方針が決まっていない
- いつから空き家なのか分からない
- 雨漏りや修繕履歴を把握していない
- 接道や再建築の可否が不明
- 私道持分や通行条件が分からない
- 建築関係の書類が残っていない
- 家財が大量に残っている
- 境界や越境を確認していない
すべての問題を売主が費用をかけて解決する必要はありません。
確認できたことと不明なことを分け、現状のまま売る場合に買主が負担する内容を明らかにするだけでも、売却方法を検討しやすくなります。
保有・活用・売却を三つの数字で比べる
相続空き家をどうするか迷った場合は、感情だけでなく次の三つの金額を比較します。
1.今後5年間の保有費用
固定資産税、保険料、草刈り、見回り、交通費、修繕費などを合計します。
2.活用に必要な費用と想定収入
賃貸や自己利用を考える場合は、改修費、設備交換費、募集費、管理費、想定家賃、空室期間を確認します。
3.現在売却した場合の手取り額
売却価格から仲介手数料、測量費、家財処分費、税金などを差し引いて計算します。
売却査定額だけを見るのではなく、持ち続けた場合に今後支払う費用と、活用するために追加で必要な費用を含めて判断することが大切です。
相続空き家を整理する基本的な順番
相続した実家や空き家は、次の順番で確認すると方向性を整理しやすくなります。
- 遺言書と相続人を確認する
- 土地・建物の登記名義を調べる
- 遺産分割と相続登記を進める
- 建物状態、接道、境界、私道を調査する
- 年間の税金と管理費を計算する
- 家族が利用する予定を確認する
- 現状での売却価格を調べる
- 保有・活用・仲介売却・直接買取を比較する
神戸市、尼崎市、西宮市、明石市、姫路市、加古川市をはじめ、南あわじ市、播磨町など兵庫県内でも、相続空き家の市場性は立地、接道、土地面積、建物状態によって異なります。
株式会社マイダスでは、相続した実家、築古戸建、長屋、文化住宅、再建築不可物件、家財が残る空き家について、名義、接道、建物状態、管理負担などを確認しています。
そのうえで、一般市場での売却、古家付き土地としての販売、現状での直接買取、不動産引取などを比較してご案内しています。
2026年の制度や住宅政策を見ると、相続空き家は「必ず売らなければならない家」ではありません。
一方で、名義も利用方法も決めないまま残しておくのではなく、保有・活用・売却のいずれかへ向けて整理する必要がある資産として考えることが重要になっています。
築年数や空き家であることだけを悲観せず、登記、管理、土地・建物の条件、保有費用を確認し、その家に合った現実的な出口を選ぶことが大切です。










