「相続した長屋を売ろうとしたら、不動産会社に断られた」
「築年数が古く、買い手が見つからないと言われた」
「再建築できない可能性があるので、売却は難しいと言われた」
神戸市長田区・兵庫区・須磨区・垂水区、尼崎市、明石市、姫路市などには、隣家と壁や屋根がつながった長屋・連棟住宅があります。
結論からいうと、長屋だから売却できないと決まっているわけではありません。
一般的な中古戸建より売却に時間がかかることはありますが、
既存建物を利用したい購入者
賃貸運用を考える投資家
隣接住戸の所有者
長屋を扱う不動産会社
などが買主になる可能性があります。
重要なのは、単に「古い長屋だから売れない」と考えるのではなく、何が売却を難しくしているのかを分けて確認することです。
接道なのか、建物状態なのか、登記なのか、融資なのか、価格なのかによって、解決方法も変わります。
長屋が売れないと言われる5つの主な理由
長屋が売れにくくなる代表的な原因は、次の5つです。
1.隣家と建物がつながっている
2.一戸だけでは再建築が難しい場合がある
3.建物が古く修繕費を予測しにくい
4.登記・相続・共有関係が複雑
5.住宅ローンを利用する買主が限られる場合がある
一つだけではなく、複数の条件が重なっている物件もあります。
株式会社マイダスでは長屋を査定するとき、道路・権利関係・建物状態・隣家との関係・買主候補を分けて確認することが重要だと考えています。
理由1 隣家と建物がつながっている
長屋では、単に壁が接しているだけでなく、
柱・梁
屋根
基礎
雨どい
給排水設備
などが隣家と関係している場合があります。
そのため、一戸だけを取り壊そうとすると、
切り離し工事
隣家側の外壁新設
防水工事
屋根・雨どいの補修
構造補強
などが必要になることがあります。
「将来いくらかかるか分からない」が買主の不安になる
一般的な戸建住宅であれば建物単体で解体できても、長屋は隣家を残した状態で工事しなければならないケースがあります。
そのため買主は、
「将来の修繕はいくらかかるのか」
「一戸だけ解体できるのか」
「隣家との話し合いが必要なのか」
という点を気にします。
だからこそ、売主が先に高額な工事をするのではなく、建物を現状利用する買主がいないかも含めて売却方法を比較することが重要です。
理由2 一戸だけでは再建築が難しい場合がある
長屋売却で特に重要なのが接道条件です。
神戸市では、建築物の敷地は原則として建築基準法第42条に定める道路へ2m以上接する必要があると案内しています。道路へ2m以上接していない場合には、一定の条件で建築基準法第43条第2項第二号による許可を検討できる制度があります。
長屋全体では接道していても一戸では不足することがある
例えば、4戸が一棟として道路に面していても、一戸ごとの敷地として見ると接道幅が不足していることがあります。
ほかにも、
細い路地の奥にある
私道持分がない
他人名義の通路を利用している
道路との間に別名義の土地がある
といった条件が関係する場合があります。
接道不足だから必ず再建築不可とは限らない
一方で、接道幅が不足しているからといって、見た目だけで「絶対に再建築できない」と判断することも適切ではありません。
神戸市の第43条許可も、敷地や通路、具体的な建築計画を基に審査されます。
また神戸市は、もともと接道不足の敷地など、接道できないことがやむを得ないケースを想定した制度であり、新たな敷地分割によって接道しない土地を作るような計画には適用できないとしています。
そのため、売却前に道路種別や接道幅を調査し、確認できていない段階で「再建築可」「再建築不可」と断定しないことが大切です。
理由3 築年数より「購入後の修繕費」が問題になる
築50年以上の長屋でも、築年数だけで売却できるかどうかは決まりません。
買主が気にするのは、むしろ購入後にどの程度の費用が必要になるのかです。
例えば、
雨漏り
シロアリ被害
床や柱の傾き
屋根・外壁の劣化
給排水設備の老朽化
などがあると、購入価格に加えて修繕費を考える必要があります。
ただし、不具合があるからといって、売主がすべて修理してから売却する必要があるとは限りません。
現状のまま売却する場合と、修繕してから売却する場合の手取りを比較することが重要です。
神戸市では長屋の耐震改修を支援する制度もある
建物を残して利用する場合は、耐震改修を検討できるケースもあります。
神戸市では2026年度、一定の条件を満たす長屋住宅・共同住宅について、耐震改修工事費を上限50万円×戸数とする補助制度を設けています。
また2026年10月1日からは、従来の1981年5月31日以前着工の住宅に加え、一定条件を満たす2000年5月31日以前着工の木造住宅も対象範囲に加わっています。
ただし、
「補助金がある=改修してから売る方が得」
とは限りません。
自己負担する工事費と、改修によって売却価格や利用価値がどの程度変わるのかを比較する必要があります。
理由4 登記・相続・所有範囲が複雑
相続した長屋では、亡くなった親や祖父母の名義が残っていることがあります。
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。
原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
2024年4月1日以前の相続も対象で、すでに相続したことを知っていた不動産については、原則として2027年3月31日までに登記する必要があります。
長屋では「どこまでが自分のものか」も確認する
見た目では一戸ずつ独立していても、
土地が共有
建物全体が共有
増築部分が未登記
土地と建物の名義人が異なる
といったことがあります。
そのため、土地・建物の登記事項証明書、公図、建物図面などから、誰が何を所有しているのかを整理することが重要です。
理由5 住宅ローンを利用する買主が限られる場合がある
「長屋だから住宅ローンが使えない」と一律に決まっているわけではありません。
しかし、
再建築性に問題がある
共有関係が複雑
未登記増築がある
接道条件に問題がある
建物の劣化が大きい
といった物件では、金融機関によって担保評価や融資審査が慎重になることがあります。
その結果、一般の住宅購入者だけを探すより、
現金購入者
投資家
隣家所有者
不動産会社
まで買主候補を広げた方が売却につながりやすい場合があります。
つまり、長屋は「売れない」のではなく、一般的な中古戸建とは買主の探し方が違うケースがあるということです。
マイダスの実例|狭い通路でも建物状態が評価材料になった長屋
株式会社マイダスが公開している事例の一つに、神戸市長田区高取山町の中古テラスハウスがあります。
この物件は相続後に誰も使用しておらず、道路へ出るまでの通路や階段も狭いという条件がありました。
一方で、所有者様が年に何度か現地を訪れて風を通し、床材を上げて空気の通りをよくするなど管理を続けていたため、空き家になってからも建物状態は良好だったとマイダスは公開しています。
この事例から分かるのは、長屋の価値は「築年数」「道路が狭い」といった一つの条件だけでは決まらないということです。
同じ築年数でも、長期間放置した建物と、定期的に管理した建物では状態が違う可能性があります。
マイダスの実例|相続した長屋で買主が見つからなかったケース
兵庫県尼崎市では、相続した中古テラスハウスについて、今後の管理負担を考えて売却を希望していたものの、なかなか買主が見つからずマイダスへ相談した事例も公開しています。
これは、
「一度売りに出して買主が見つからなかった=もう売れない」
ではないことを示す一例です。
不動産会社によって想定している買主や販売方法は異なります。
まず「なぜ売れなかったのか」を確認することが、次の方法を考える出発点になります。
マイダスの公開物件から見る「古いテラス=需要がない」ではない例
マイダスが2026年9月に公式サイトへ掲載した尼崎市大庄西町2丁目の中古テラスは、築年数不詳で、前面道路は2項道路とされています。
一方で、1階・2階を分けて利用できる構成を生かし、収益物件として販売しており、掲載時点の価格は580万円、年間想定賃料収入96万円、想定利回り12.30%としていました。実際の賃料や収益性を保証するものではありませんが、古いテラスや道路条件がある物件でも、住宅としてではなく収益物件という見方をすると販売方法が変わるケースがあることを示すマイダスの公開データです。
長屋を査定するときに「普通の戸建としていくらか」だけではなく、誰が、何に使える物件なのかを見ることが重要です。
他社から「長屋は売れない」と言われたら何を確認する?
一社に断られた場合、まず「なぜ難しいのか」を具体的に確認しましょう。
例えば、
再建築できないからなのか
建物状態が悪いからなのか
登記が整理されていないからなのか
住宅ローンが付きにくいからなのか
希望価格が高いからなのか
その会社が長屋を扱っていないからなのか
によって対応は変わります。
「長屋だから」という説明だけで終わらせず、売れにくい原因を一つずつ分けることが重要です。
長屋が売れないときの4つの解決方法
1.接道・登記を整理して仲介で売る
接道、登記、境界などを整理することで、一般の住宅購入者や投資家へ販売しやすくなる場合があります。
価格を重視する場合には検討しやすい方法ですが、調査や販売に時間が必要になることがあります。
2.投資家・収益物件として販売する
自己居住用住宅としては売りにくくても、賃貸運用を前提にすると見方が変わる物件があります。
現在賃貸中の住戸がある場合や、比較的小規模な改修で賃貸利用できる場合などは、投資家も買主候補になります。
3.隣家へ売却する
一戸だけでは使いにくい土地でも、隣家にとっては建物や敷地を一体利用できる可能性があります。
特に接道や土地形状に問題がある物件では、隣地所有者が有力な買主候補になることがあります。
ただし、隣家に購入義務があるわけではありません。
4.長屋を扱う不動産会社へ買取を相談する
一般の住宅購入者への販売が難しい場合、不動産会社による直接買取も選択肢です。
マイダスでは公式サイトで、空き家・長屋・古家・再建築不可などを買取対象として案内しており、リフォーム・清掃をせず現状から相談できる方針を示しています。物件条件によって買い取れない場合もあります。
長屋は売れないからといって先に解体しない
株式会社マイダスが長屋の売却で特に重視しているのが、売却方法を確認する前に解体しないことです。
一戸だけを取り壊すと、
切り離し工事
隣家側の外壁補修
防水
屋根・雨どいの処理
構造補強
などが必要になる可能性があります。
さらに、道路・接道条件を確認せず解体すると、新しい建物を建てにくい土地だけが残るケースもあります。
そのため、
現状のまま売却した場合
修繕して売却した場合
解体して土地として売却した場合
の売却価格だけでなく、必要経費を差し引いた最終的な手取り額で比較することが重要です。
売却まで長引く場合は空き家管理にも注意
「売れない」と言われたからといって、長屋をそのまま放置することにも注意が必要です。
管理状態が悪化し、「管理不全空家」や「特定空家」として市区町村から勧告を受けた場合、その敷地は固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れることがあります。
小規模住宅用地200㎡以下の部分では、通常、固定資産税の課税標準を6分の1とする特例があります。
長屋では、自宅部分の雨漏りや腐食が隣接住戸へ影響する可能性もあります。
売却活動中でも最低限の管理を続けましょう。
マイダスが考える「売れない長屋」の確認順序
株式会社マイダスでは、長屋が売れないときは、次の順番で整理することが重要だと考えています。
①なぜ前の売却方法では売れなかったのか確認する
②土地・建物の所有範囲を確認する
③道路・接道・私道条件を確認する
④現在の建物状態と修繕費を確認する
⑤一般の買主・投資家・隣家・不動産会社へ買主候補を広げる
⑥解体・リフォーム前に現状価格を確認する
「長屋だから売れない」のではなく、物件の条件と販売方法が合っていない可能性を一度確認することがポイントです。
よくある質問
長屋は本当に売れにくいのですか?
一般的な戸建住宅より、接道、建物構造、登記、隣家との関係など確認項目が多いため、買主が限定される場合があります。ただし、それだけで売却できないと決まるわけではありません。
築50年以上の長屋でも売却できますか?
可能性があります。築年数だけではなく、接道、立地、建物状態、登記、現在の利用可能性などを総合的に確認します。
再建築不可の長屋でも売れますか?
売却できる可能性があります。既存建物を利用したい人、投資家、隣地所有者、不動産会社などが買主候補になります。
他社で長屋の買取を断られても相談できますか?
相談できます。不動産会社によって買取後の活用方法や取扱基準が異なります。一社に断られたことだけで売却できないとは判断できません。
相続登記が終わっていなくても査定できますか?
査定や相談は可能です。ただし、第三者へ所有権を移転するまでには必要な相続登記を整理する必要があります。
家財が残っていても相談できますか?
可能です。マイダスでは公式サイト上でも、長屋・空き家などについて現状のまま相談できる方針を案内しています。
長屋は解体してから売った方がよいですか?
必ずしもそうではありません。切り離し工事や隣家側の補修費が発生する可能性があり、解体後に再建築条件の問題が分かる場合もあります。まず現状のまま査定する方法があります。
まとめ
兵庫県で長屋が「売れない」と言われる背景には、築年数だけではなく、
接道・再建築
隣家との構造的なつながり
相続・登記・共有関係
建物状態と修繕費
住宅ローン
買主の探し方
など、複数の原因があります。
そのため、「長屋だから売れない」とひとまとめにするのではなく、何が売却を難しくしているのかを確認することが重要です。
神戸市長田区・兵庫区・須磨区・垂水区・灘区・東灘区・中央区、西宮市、尼崎市、芦屋市、明石市、姫路市、加古川市、宝塚市、伊丹市、川西市、三田市などで長屋・連棟住宅を所有している場合は、大きな費用をかける前に現在の条件を確認してみましょう。
株式会社マイダスでは、実際に神戸市長田区の狭い通路にある中古テラスハウスや、相続後になかなか買主が見つからなかった尼崎市の中古テラスハウスなど、兵庫県内の取扱事例を公開しています。
また、2026年9月には、築年数不詳・前面道路が2項道路の尼崎市中古テラスを、収益物件として公式サイトで販売しています。これは、古い長屋についても「一般的な中古戸建」としてだけではなく、物件の特徴に応じた別の評価方法があることを示す一例です。
「売れないと言われた理由を確認する」「解体前に現状で査定する」「一般の住宅購入者だけでなく売却先を広げる」。
この3点が、売却が難しい長屋を整理するときに株式会社マイダスが重視している考え方です。
査定無料・秘密厳守。仲介、買取、隣家への売却、現状渡し、有償引取など、物件の状態に応じた整理方法をご提案します。





