「相続した実家の裏に大きなコンクリートの壁がある」
「土地を売ろうとしたら、買主から擁壁の資料を求められた」
「古い擁壁を造り直さないと売却できないと言われた」
中古住宅や土地を見るとき、多くの方が最初に確認するのは、建物の築年数、間取り、駅からの距離、土地面積などではないでしょうか。
しかし、坂道のある住宅地や高低差のある土地では、建物以上に売却条件へ影響することがあります。
それが**「擁壁(ようへき)」**です。
擁壁とは、高低差のある土地で土砂が崩れないように支える構造物です。
結論からいうと、古い擁壁があるからといって、その土地が売却できないわけではありません。
重要なのは、
どのような擁壁なのか
現在どのような状態なのか
許可・確認等の資料があるのか
誰が所有・管理する擁壁なのか
建替え時にそのまま利用できるのか
を整理することです。
高額な擁壁工事を先に行うのではなく、まず現在の状態で売却できる方法を確認しましょう。
擁壁とは?なぜ土地の売却に影響する?
擁壁は、高低差のある土地で土圧を受け止め、宅地や建物を支えるためにつくられる構造物です。
国土交通省は宅地擁壁の代表的な形式として、コンクリート擁壁、練積造擁壁、空石積造擁壁などを挙げています。老朽化などで機能が低下すると、地震時の倒壊などによって宅地・建物だけでなく隣地へ影響する場合があるとしています。
そのため土地の買主にとっては、家の築年数だけでなく、
「この擁壁は今後も使えるのか」
「補修や造り替えに費用がかからないか」
という点も重要な判断材料になります。
古い擁壁がある=危険な土地ではない
擁壁が古いというだけで、直ちに危険と判断することはできません。
国土交通省は「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」を公表し、現地状況や健全度に応じて、補修・補強・再構築などの対策を検討する考え方を示しています。
つまり、
古いかどうかではなく、現在どのような状態なのか
を見ることが重要です。
売却前に確認したい擁壁の状態
例えば、
擁壁に目立つひび割れがある
壁面が膨らんでいる、傾いている
擁壁から大量の水が出ている
水抜き穴が見当たらない
石積みの上へブロックなどを継ぎ足している
擁壁付近の地盤に沈下や変形が見られる
といった場合には、専門家による確認を検討します。
ただし、これらの状態があるからといって、所有者自身で「危険」「違法」と断定するのは避けましょう。
売却で問題になりやすいのは「擁壁の履歴が分からない」ケース
相続した土地では、
「親が買ったときから擁壁があった」
「誰がいつ造ったのか分からない」
「確認済証や図面が見当たらない」
ということがあります。
古い擁壁では、現在の所有者が工事をした本人ではないケースも珍しくありません。
高さ2mを超える擁壁は確認事項が増える
大阪府は、建築基準法施行令第138条に規定される工作物のうち、建築確認申請の規定が準用される例として**「高さ2mを超える擁壁」**を挙げています。
ただし、
「2m以下なら何も確認しなくてよい」
という意味ではありません。
盛土規制法、造成時の許可、開発許可、築造された年代など、物件によって確認する制度が変わります。
擁壁のある土地で探しておきたい資料
売却前には、手元に次のような資料がないか確認しましょう。
過去の売買契約書
土地の測量図・境界確認書
擁壁の図面や構造計算資料
工作物の確認済証・検査済証
宅地造成に関する許可資料
開発許可関係資料
造成工事の契約書や写真
資料がなくても直ちに売却できなくなるわけではありません。
自治体に記録が残っている場合もあるため、所在地を所管する行政窓口や建築士などへ確認します。
2023年施行の「盛土規制法」も確認する
現在、高低差のある土地や擁壁工事を検討するときに重要なのが「盛土規制法」です。
正式名称は「宅地造成及び特定盛土等規制法」で、2023年5月26日に施行されました。
土地の用途が宅地・農地・森林のどれであるかにかかわらず、危険な盛土などを包括的に規制する制度です。
大阪府では規制区域が広く指定されている
大阪府では、政令指定都市・中核市を除く府域について、2024年4月1日から盛土規制法の運用を開始し、岬町の一部を除く地域を宅地造成等工事規制区域として指定しています。
大阪市も2025年4月1日から、**市内全域を「宅地造成等工事規制区域」**に指定しています。
一定規模以上の盛土・切土などを行う場合には、許可等が必要となります。
そのため、古い擁壁を撤去して土地を造成し直す場合は、「昔から擁壁があるから同じように造り直せる」と判断せず、現在の制度で確認する必要があります。
擁壁がある土地は建替えできない?
擁壁があるだけで、建替えできないと決まるわけではありません。
ただし、建替えを予定する場合には、
既存擁壁をそのまま利用できるのか
補修・補強が必要なのか
新しい擁壁へ造り替える必要があるのか
建物を擁壁からどの程度離す必要があるのか
造成や盛土規制法の許可が必要なのか
などを確認する場合があります。
買主が新築住宅を建てる予定であれば、この不確定要素が土地価格や購入判断に影響する可能性があります。
擁壁は上の土地と下の土地、どちらのもの?
これもよくある質問です。
「高い方の土地を支えているから、高い土地の所有者のもの」
「自分の敷地側に壁が見えているから自分のもの」
と見た目だけで判断することはできません。
境界位置、測量資料、工事記録、過去の売買契約、築造経緯などを確認する必要があります。
特に擁壁が境界付近にある場合は、
誰が所有しているのか
誰が補修費を負担するのか
擁壁のどこが境界なのか
を整理しておくと、買主へ説明しやすくなります。
擁壁を直してから売った方が高く売れる?
必ずしもそうとは限りません。
擁壁工事は、壁の高さや長さだけではなく、地盤、重機の進入、既存擁壁の撤去、排水、造成、建物との位置関係などによって費用が変わります。
先に大きな費用をかけても、その金額を土地の売却価格へそのまま上乗せできるとは限りません。
そのため、
現在の状態で売却した場合
と、
擁壁を補修・造り替えてから売却した場合
の手取りを比較することが重要です。
「大規模盛土造成地マップ」に載っていたら危険?
ここも誤解しやすいポイントです。
大阪府は「大規模盛土造成地マップ」を公表していますが、このマップは造成前後の地形図などから大規模盛土造成地のおおむねの位置を示すもので、掲載されている場所が危険であることを示す地図ではありません。
マップに該当しているという理由だけで「危険な土地」「売れない土地」と判断しないようにしましょう。
高低差のある土地にはデメリットだけでなく特徴もある
高低差がある土地というと、造成費や擁壁工事ばかり注目されます。
しかし、高台になっていることで、
道路から室内が見えにくい
眺望を確保しやすい
土地の使い方によって独特の建築計画ができる
といった特徴がある場合もあります。
不動産は、一つの条件だけで価値がゼロになるものではありません。
誰が、どのように利用するかによって評価が変わります。
マイダスが考える擁壁・高低差のある土地の見方
株式会社マイダスでは、土地について「平坦かどうか」だけで判断するのではなく、その状態でどのような利用方法が考えられるかを見ることが重要だと考えています。
マイダスの公式サイトでも、高低差のある土地や崖地を「売れにくい土地」の一つとして取り上げる一方、土地の用途や活用方法まで含めて再評価する方針を公開しています。
これは、
「擁壁があるから価値がない」
と判断するのではなく、
擁壁の状態を確認する
必要となる工事を把握する
現在の状態で買う人がいるか確認する
造成費を考慮した価格を検討する
という順番で考えるということです。
現時点で、マイダス公式サイト上に「古い擁壁のある大阪府の物件」と明確に確認できる個別買取事例は確認できなかったため、実在しない事例を作らず、今回は公開されている高低差・崖地への取扱方針を実務目線として紹介しています。
売却前に確認したい5つのポイント
1.擁壁が自分の土地にあるか
まず境界と擁壁の位置関係を確認します。
2.擁壁の資料が残っているか
確認済証、図面、造成許可資料、過去の工事資料などを探します。
3.現在の状態に異常がないか
ひび割れ、膨らみ、傾き、排水状況などを確認します。
4.買主が建替えを予定した場合どうなるか
既存擁壁を利用できるのか、現在の法令に基づく確認が必要です。
5.工事前の状態でも売却できないか
擁壁工事を発注する前に、現状での仲介・買取価格を確認します。
擁壁のある土地を売却する方法
現状のまま仲介で売却する
擁壁の状態や資料を買主へ説明したうえで販売する方法です。
立地や土地需要が高ければ、買主自身が建築計画と擁壁工事を検討する場合があります。
擁壁を調査してから販売する
建築士などの専門家へ相談し、現在の状態を整理してから販売する方法です。
買主が検討しやすくなる可能性がありますが、調査費用とのバランスを考える必要があります。
不動産会社へ現状で売却する
一般の住宅購入者では判断しにくい土地でも、高低差や擁壁のある土地を扱う不動産会社であれば、造成・再利用などを前提に査定できる場合があります。
株式会社マイダスでは、公式サイトで傾斜地・高低差のある土地なども相談対象として案内しています。
よくある質問
古い擁壁がある土地でも売却できますか?
売却できる可能性があります。重要なのは、擁壁の築造時期、状態、許可・確認資料、所有関係、建替え時の取扱いなどを整理することです。
擁壁の確認済証がなくても売れますか?
書類がないだけで直ちに売却できなくなるわけではありません。自治体に残る資料や現地状況を確認し、必要に応じて専門家へ相談します。
高さ2m以下なら擁壁に問題はありませんか?
そのように一律には判断できません。大阪府が工作物の確認申請の例として挙げるのは高さ2mを超える擁壁ですが、盛土規制法や造成時の許可など別の確認事項がある場合があります。
擁壁を造り直してから売却した方がよいですか?
必ずしも必要ではありません。高額な工事費を売却価格で回収できるとは限らないため、先に現状での査定を受けて比較する方法があります。
大規模盛土造成地マップに載っている土地は危険ですか?
掲載されていることだけで危険と判断することはできません。大阪府も、このマップは危険箇所を示すものではないと説明しています。
まとめ
大阪府で古い擁壁や高低差のある土地を売却するときは、**「擁壁がある=売れない」「古い=危険」**と決めつけないことが重要です。
まず確認したいのは、
擁壁の種類と現在の状態
高さや築造時期
確認・許可関係の資料
境界と所有関係
盛土規制法など現在の規制
建替え時に既存擁壁を利用できるか
という点です。
豊中市、吹田市、池田市、箕面市、茨木市、高槻市、枚方市、交野市、四條畷市、柏原市、河内長野市など、大阪府内で高低差のある土地や古家を所有している場合は、高額な擁壁工事を契約する前に現在の売却条件を確認してみましょう。
株式会社マイダスでは、古家付き土地、再建築不可、無道路地、狭小地、変形地、傾斜地・高低差のある土地など、一般的な土地より条件整理が必要な不動産についても相談対象としています。
「擁壁を直してから売る」のではなく、「今の擁壁の状態で、どのような売り方ができるのかを先に確認する」。
これが、擁壁のある土地で不要な工事費を負担しないために、株式会社マイダスが重視する考え方です。
査定無料・秘密厳守。仲介、買取、現状渡し、有償引取など、土地の状態に応じた整理方法をご提案します。





