「20年前に家を買ってから何度も引っ越したけれど、不動産の登記は何もしていない」
「土地を売ろうとして初めて、登記簿の住所が昔のままだと分かった」
このようなケースは珍しくありません。
これまでは、不動産所有者が引っ越したり、結婚などで氏名が変わったりしても、登記簿上の住所・氏名を変更する登記は義務ではありませんでした。
しかし、2026年4月1日から「住所等変更登記」が義務化されています。
現在、不動産の所有権登記名義人は、住所や氏名が変わった場合、原則として変更日から2年以内に変更登記をする必要があります。正当な理由なく義務に違反すると、5万円以下の過料が科される可能性があります。
しかも、2026年4月より前に引っ越している方も無関係ではありません。
引っ越しても不動産登記の住所は自動では変わらなかった
住民票を新しい住所へ移したから、
「法務局の登記住所も当然変わっている」
と思っている方もいるかもしれません。
しかし、従来はそうではありませんでした。
例えば、
神戸市で住宅を購入
↓
西宮市へ転居
↓
さらに宝塚市へ転居
していても、住所変更登記をしていなければ、不動産登記簿には最初の神戸市の住所が残っていることがあります。
法務省によると、住所等変更登記の未了は、相続登記の未了とともに所有者不明土地が発生する主な原因の一つです。登記簿を確認しても現在の所有者へ連絡できない土地が増えていることなどを背景に制度が改正されました。
2026年4月1日から何が義務になった?
不動産の所有権登記名義人について、
住所が変わった
氏名が変わった
場合、変更日から2年以内に変更登記をすることが法律上の義務になりました。
対象は自宅だけではありません。
例えば、
中古戸建
マンション
アパート
収益物件
土地
山林
遠方の空き家
など、所有権の登記名義人になっている不動産が対象です。
また個人だけでなく、法人についても名称や本店所在地の変更が対象になります。
10年前・20年前の引っ越しも対象?
対象になります。
ここは今回の制度で特に注意したいポイントです。
2026年4月1日より前に住所や氏名が変わっていて、現在も変更登記をしていない場合にも義務化は適用されます。
この場合の期限は、原則として2028年3月31日までです。
例えば、
2005年 住宅購入
2010年 引っ越し
2020年 さらに引っ越し
2026年現在 登記住所は2005年当時のまま
というケースでも対象です。
「義務化された2026年以降に引っ越した人だけの制度」ではありません。
昔から所有している土地や実家、投資用不動産がある方ほど、一度登記内容を確認しておく意味があります。
期限を過ぎたら自動的に5万円の過料?
そういう制度ではありません。
正当な理由なく義務を履行しなかった場合に、5万円以下の過料が科される可能性があります。
法務省の2026年9月30日現在のQ&Aでは、登記官が義務違反を把握した場合、まず義務違反者へ変更登記をするよう催告する流れが示されています。
したがって、
「期限を1日過ぎた瞬間に自動的に5万円請求される」
という仕組みではありません。
一方で、義務になった以上、
「売るときまでそのままでいい」
という従来の考え方は見直す必要があります。
何度も引っ越している場合は住所のつながりに注意
古い不動産で少し手間がかかりやすいのが、所有後に何度も引っ越しているケースです。
例えば登記簿には20年前の大阪市の住所が載っていて、その後、
大阪市
↓
尼崎市
↓
西宮市
↓
神戸市
と転居していた場合です。
住所変更登記では、登記簿に記録された住所から現在の住所まで同一人物であることを確認できる資料が必要になります。
法務局では、住民票コードだけで住所移転の経緯を確認できない場合には、住民票の写しや戸籍の附票の写しなど、住所のつながりを確認できる資料が必要になることがあると案内しています。
長期間放置しているほど、
「昔どこに住んでいたか」
を確認する作業が増える可能性があります。
便利な「スマート変更登記」とは?
今回の義務化に合わせて利用できるのが、スマート変更登記です。
個人の不動産所有者が、氏名・住所・生年月日などの検索用情報をあらかじめ法務局へ申し出ると、法務局が住民基本台帳ネットワークを利用して住所・氏名の変更を確認します。
変更が確認された場合には、所有者本人へ意思確認を行い、了承が得られれば法務局が職権で住所等変更登記を行う仕組みです。
検索用情報の申出は無料です。
また、この申出をしておけば、法務局側の職権登記がまだ完了していない場合でも、住所等変更登記の義務違反に問われない取扱いが示されています。
検索用情報の申出は2025年から始まっている
ここは制度の時系列を整理しておきましょう。
2025年4月21日
→ 検索用情報の申出開始
2026年4月1日
→ 住所等変更登記の義務化・スマート変更登記開始
という流れです。
2025年4月21日以降、新たに所有権保存・移転等の登記をする場合には、原則として登記申請時に検索用情報も申し出る仕組みになっています。
それ以前から不動産を所有している方も、自分から検索用情報を申し出ることができます。
スマート変更登記なら引っ越した翌日に登記が変わる?
すぐに反映される仕組みではありません。
法務省は、個人について検索用情報を基におおむね2年に1回程度住基ネットへ照会し、住所・氏名の変更を確認すると説明しています。
そのため、
「来月、自宅を売却する」
「住宅ローンの借換えですぐ最新住所の登記が必要」
など、速やかに登記を変更する必要がある場合には、スマート変更登記による職権変更を待たず、従来どおり自分で変更登記を申請する方法があります。
法務局も、速やかに住所等変更登記をする必要がある場合には、自ら登記申請をする必要があると案内しています。
自分で住所変更登記すると費用はいくら?
住所・氏名変更登記を通常の申請によって行う場合、登録免許税は原則として不動産1個につき1,000円です。
例えば、
土地1筆+建物1棟
であれば、登録免許税は原則2,000円となります。
一方、検索用情報の申出やスマート変更登記による職権登記は無料です。
ただし司法書士へ申請を依頼する場合には、別途司法書士報酬が必要になります。
相続登記とは別の義務
「登記の義務化」という言葉を聞くと、2024年4月から始まった相続登記義務化を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、
相続登記
と
住所等変更登記
は別の制度です。
例えば、
父の土地を相続
↓
自分名義へ相続登記
↓
数年後に引っ越し
という場合、相続登記が終わっていても、その後住所が変われば住所変更登記の対象になります。
簡単にいえば、
相続登記
=「現在の所有者は誰か」を登記する
住所等変更登記
=「その所有者の現在の住所・氏名」を反映する
ための制度です。
結婚・離婚などで氏名が変わった場合も対象
義務化されたのは住所変更だけではありません。
結婚・離婚などにより、所有権登記名義人の氏名が変わった場合も対象です。
例えば、
独身時代にマンション購入
↓
結婚して姓が変更
↓
登記簿は旧姓のまま
という場合も確認が必要です。
住所変更と氏名変更が両方あるケースもあります。
[YouTube動画挿入位置]
売却予定なら「登記住所」は早めに確認
不動産を売却するときには、所有者本人の現在住所と登記上の住所が一致しているかを確認します。
例えば、
権利証が見つからない
登記住所が20年前のまま
何度も転居している
氏名も変わっている
といった条件が重なると、売買直前に必要資料を集めるのに時間がかかる可能性があります。
そのため、査定・売却相談の段階で最新の登記事項証明書を確認しておく方が進めやすくなります。
マイダスが考える確認順序
株式会社マイダスでは、長期間所有している不動産を売却する場合、価格だけでなく、
①現在の登記名義人を確認する
②登記上の住所・氏名を確認する
③現在の住所・氏名と一致しているか確認する
④相続登記が未了ではないか確認する
⑤住所変更が複数回ある場合は必要資料を確認する
⑥売却予定が近い場合は司法書士等へ早めに相談する
という順番で整理することが重要だと考えています。
特に昔購入した空き家や土地では、
「所有者は自分だから問題ない」
と思っていても、登記を見ると住所が30年前のままということがあります。
2026年からは、この部分も不動産所有者が確認しておきたい項目になっています。
よくある質問
10年前に引っ越して登記住所を変更していません。対象ですか?
対象です。2026年4月1日より前に住所等が変更され、現在も変更登記されていない場合は、原則として2028年3月31日までに対応する必要があります。
登記を忘れていたら、すぐ5万円の過料になりますか?
期限を過ぎれば自動的に5万円が請求される制度ではありません。正当な理由なく義務を履行しなかった場合に、5万円以下の過料が科される可能性があります。法務省は、登記官による催告などの流れも示しています。
スマート変更登記を使えば、将来引っ越すたびに申請しなくてもよい?
検索用情報を申し出ておけば、法務局が住基ネット情報を確認し、本人の了承を得て職権で住所等変更登記を行う仕組みを利用できます。
すぐ不動産を売却したい場合もスマート変更登記を待てばいい?
職権登記には時間差があります。法務局も、速やかに変更する必要がある場合には自分で変更登記を申請するよう案内しています。
住所変更登記は自分でもできますか?
可能です。法務局ではオンラインによる住所変更登記の方法も案内しています。住所のつながりを住民票コードだけで確認できない場合には、住民票や戸籍の附票等が必要になることがあります。
まとめ
神戸市、西宮市、尼崎市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、明石市、加古川市、姫路市など兵庫県で、
昔購入した住宅や土地がある
転勤などで何度も引っ越している
遠方に空き家を所有している
結婚・離婚等で氏名が変わっている
という方は、一度不動産登記簿を確認してみましょう。
2026年4月1日から、住所・氏名が変わった場合の変更登記は法律上の義務になっています。
そして、2026年4月1日以前の変更についても、未登記であれば原則として2028年3月31日までの対応が必要です。
株式会社マイダスでは、中古戸建、マンション、土地、空き家、相続物件、長屋、再建築不可、無道路地、借地・底地、狭小地・変形地などについてご相談いただけます。
登記申請そのものをマイダスが行うわけではありませんが、住所等変更登記や相続登記など専門的な手続が必要な場合には、司法書士等と確認しながら売却準備を進めることが大切です。
「売るときに直せばいい」と考えるのではなく、今のうちに登記簿の住所・氏名を確認する。
2026年からは、それが不動産を所有する方にとって新しい基本チェックの一つになっています。
査定無料・秘密厳守。丁寧なヒアリング・スピード対応で、「登記を確認したら昔の住所のままだった」という段階から、売却に必要な確認事項を整理します。





