「親から相続した実家を売りたいけれど、権利証が見つからない」
「何十年も前に買った土地なので、どの書類が権利証なのか分からない」
古い実家や相続不動産を整理していると、このようなことがあります。
権利証と聞くと、
「これがなければ家を売れないのでは?」
と心配になるかもしれません。
結論からいうと、権利証や登記識別情報を紛失したという理由だけで、不動産を売却できなくなるわけではありません。
法務省も、権利証を紛失しても不動産の売却等ができなくなるわけではないと案内しています。
ただし、通常とは異なる方法で「本当に登記名義人本人が売却しているのか」を確認する必要があります。
そもそも「権利証」とは?
一般に「権利証」と呼ばれているものは、以前の不動産登記制度で交付されていた登記済証です。
現在は制度が変わり、一定の登記によって新たに登記名義人となった人には、原則として登記識別情報が通知されます。
登記識別情報は、不動産と登記名義人ごとに定められる12桁の符号で、所有権移転登記などを行う際、登記名義人本人による申請であることを確認する手段の一つとして利用されます。
つまり、権利証や登記識別情報は、
「この紙を持っている人が土地の所有者」
という単純な所有権証明書ではなく、登記手続で本人確認をするための重要な資料・情報です。
昔の権利証は今でも使える?
使えます。
登記識別情報制度へ変わったからといって、以前交付された登記済証が無効になったわけではありません。
法務省も、従来の登記済証(権利証)は現在でも登記申請に使用できると案内しています。
そのため古い実家を整理していて、
「登記済」
「登記済証」
などと記載された古い書類が見つかった場合は、自己判断で処分しない方がよいでしょう。
権利証をなくしたら再発行できる?
ここが大きなポイントです。
紛失した登記済証や登記識別情報は、原則として再発行・再通知してもらうことができません。
法務局へ行って、
「なくしたので、もう一枚ください」
ということはできません。
一方で法務省は、紛失したからといって不動産の売却等ができなくなるわけではないとも説明しています。
つまり、
再発行はできない
しかし売却する方法はある
ということです。
方法① 法務局からの「事前通知」
登記識別情報などを提供できない場合の本人確認方法の一つが事前通知制度です。
所有権移転登記などを申請すると、法務局から登記名義人へ、
「この登記申請は本当にあなたの意思によるものですか」
という趣旨の通知が行われます。
個人の場合は原則として本人限定受取郵便によって通知され、本人が所定期間内に申請が真実である旨を申し出ることで本人確認を行います。
国内に住所がある場合、原則として通知から2週間以内に申出をする必要があります。
事前通知という本人確認方法そのものについて、法務局は手数料がかからないと案内しています。
方法② 司法書士等による「本人確認情報」
もう一つの方法が、司法書士等の資格者代理人による本人確認情報です。
登記識別情報を提供できない場合でも、司法書士等が所有者本人と面談するなどして本人確認を行い、必要な本人確認情報を法務局へ提供します。
登記官がその内容を適正と認めれば、事前通知手続を省略することができます。
司法書士等に本人確認情報の作成を依頼する場合には、別途費用がかかることがあります。
そのため、
「権利証をなくしたから売れない」
というより、
「本人確認のために通常とは異なる手続や費用が必要になる可能性がある」
と考える方が正確です。
不動産売買では早めに司法書士へ伝えることが重要
一般的な不動産売買では、決済日に買主が売買代金を支払い、それと同時に所有権移転登記を進めます。
そのため、
「権利証がないことは決済当日に伝えればいい」
という進め方は避けた方がよいでしょう。
事前通知を利用するのか、司法書士等による本人確認情報を利用するのかなど、取引条件に応じた準備が必要になります。
実際、法務局も、登記済証・登記識別情報がなく事前通知が必要な場合には、通常より登記完了に時間がかかることがあると案内しています。
売却相談の段階で、
「権利証が見つかりません」
と不動産会社・司法書士へ伝えておくことが大切です。
「権利証を持っている=現在の所有者」とは限らない
ここも誤解しやすいところです。
亡くなった父親名義の権利証を子どもが保管していても、それだけで子どもが登記上の所有者になったわけではありません。
現在、
誰が所有者として登記されているのか
を確認するときは、最新の登記事項証明書を確認します。
相続した家で、
「権利証は手元にあるけれど、名義は父のまま」
ということもあります。
権利証を持っていることと、現在の登記名義人であることは別問題です。
相続登記なら、親の権利証がなくても大丈夫?
通常の相続登記では、亡くなった方の権利証・登記識別情報が必ず必要になるわけではありません。
相続登記では、戸籍等によって相続関係を確認し、遺産分割を行った場合は遺産分割協議書など、相続内容に応じた書類を用いて手続きを進めます。法務局も相続登記について、戸籍全部事項証明書等を必要な添付情報として案内しています。
ただし、
「相続登記では権利証は絶対に必要ない」
とまで断定するのは適切ではありません。
例えば、亡くなった方の登記上の住所と最後の住所のつながりを住民票の除票や戸籍の附票などで確認できない場合には、登記済証が補助資料として必要になるケースがあります。
そのため、
「父の権利証がないから相続登記できない」
と最初から諦める必要はありませんが、古い相続では司法書士や法務局へ個別に確認する方が安全です。
2026年からは「登記住所が昔のまま」にも注意
権利証が見つからない古い不動産では、もう一つ確認したいことがあります。
登記簿の所有者住所です。
2026年4月1日から、不動産所有者の住所・氏名に変更があった場合、原則として変更日から2年以内に住所等変更登記をすることが義務化されました。
2026年4月1日より前に住所・氏名が変わっている場合についても対象となり、原則として2028年3月31日までに対応する必要があります。
例えば、
権利証がない
20年前に引っ越している
登記簿には昔の住所が載っている
という場合は、売却直前ではなく早めに登記状況を確認しておくことをおすすめします。
紛失ではなく「盗難・流出」が疑われる場合は?
単に、
「家の中を探しても見つからない」
という場合と、
「誰かに持ち出された可能性がある」
「登記識別情報の12桁の番号を他人に見られた」
という場合では対応が異なります。
登記識別情報については、登記名義人等から法務局へ失効の申出をする制度があります。
さらに、不正な登記がされる差し迫った危険がある場合には、不正登記防止申出制度があります。
申出後3か月以内に登記申請があった場合、申出人へその旨が通知される仕組みです。
なお、登記識別情報だけを知られたからといって、それだけで簡単に所有権移転登記ができるわけではありません。
書面申請では登記識別情報のほか、印鑑・印鑑証明書なども本人確認に利用されます。
盗難や情報流出が疑われる場合は、早めに法務局や司法書士へ相談しましょう。
[YouTube動画挿入位置]
マイダスが考える「権利証がない物件」の確認順序
株式会社マイダスでは、
「権利証がない=売れない」
と判断するのではなく、まず次の順序で整理することが重要だと考えています。
①最新の登記事項証明書で現在の所有者を確認する
②権利証・登記識別情報が本当にないか確認する
③相続登記が終わっているか確認する
④登記上の住所・氏名が現在と一致しているか確認する
⑤司法書士へ本人確認方法を確認する
⑥必要な手続と売却スケジュールを整理する
マイダス公式サイトでも、相続した実家の重要書類として登記識別情報通知・権利証を挙げる一方、権利証が見つからなくても直ちに売却できなくなるわけではなく、本人確認情報などの手続を利用できる旨を案内しています。
よくある質問
権利証がなくても家を売却できますか?
売却できる可能性があります。
法務省も、権利証を紛失したことだけで不動産の売却等ができなくなるわけではないと案内しています。事前通知や司法書士等による本人確認情報など、別の本人確認方法があります。
権利証をなくしたら法務局で再発行できますか?
原則として再発行できません。なくした場合は、新しい権利証を発行してもらうのではなく、別の本人確認制度を利用して登記手続きを進めます。
権利証がなければ査定もできませんか?
査定は可能です。
まず所在地、土地・建物の登記、道路、建物状態などを確認して査定できます。権利証が見つからないことは、売却手続上の確認事項として整理します。
親の家を相続しましたが、権利証がありません。
通常の相続登記では、親の権利証が必須とは限りません。ただし、登記住所と最後の住所のつながりを証明できない場合など、個別事情によって追加資料が必要になることがあります。
登記識別情報を他人に見られたかもしれません。
登記識別情報の失効申出制度があります。不正登記の具体的な危険がある場合には不正登記防止申出制度もあるため、早めに法務局や司法書士へ相談しましょう。
まとめ
奈良市、生駒市、大和郡山市、天理市、橿原市、大和高田市、香芝市、桜井市、王寺町、斑鳩町などで、
親から古い実家を相続した
権利証がどこにあるか分からない
何十年も前に購入した土地を売りたい
登記関係の書類がほとんど残っていない
という場合でも、権利証が見つからないという理由だけで売却を諦める必要はありません。
重要なのは、
現在の登記名義人は誰か
相続登記は終わっているか
登記住所・氏名は現在と一致しているか
どの本人確認方法で所有権移転登記を進めるか
を早めに整理することです。
株式会社マイダスでは、一般的な中古戸建・土地・マンションはもちろん、相続物件、空き家、古家、長屋、再建築不可、無道路地、借地・底地、狭小地、変形地など、通常より確認事項の多い不動産についてもご相談いただけます。
登記申請そのものをマイダスが行うわけではありませんが、司法書士等による専門的な手続が必要な場合には、専門家と確認しながら売却を進めることが重要です。
「権利証がないから売れない」と決めつけず、まず登記名義・住所・相続状況を確認する。
これが、書類が見つからない不動産を売却するときの第一歩です。
査定無料・秘密厳守。丁寧なヒアリング・スピード対応で、「権利証も登記書類も見つからない」という段階から、売却に必要な確認事項を整理します。





