「自宅の真上を大きな送電線が通っている」
「登記事項証明書を見たら“地役権”という権利が付いていた」
「高圧線の下にある土地でも売却できる?」
大阪府内でも、大きな鉄塔から鉄塔へ送電線が伸び、その下や周辺に住宅、駐車場、田畑がある場所があります。
結論からいうと、送電線が上空を通っている、または地役権が設定されているという理由だけで、その土地が売却できなくなるわけではありません。
ただし、
どこに送電線が通っているのか
地役権が設定されているのか
どの範囲に利用制限があるのか
建物をどこまで高くできるのか
鉄塔用地との境界はどうなっているのか
を確認することが重要です。
送電線の下でも土地は自分のもの?
送電線が上空を通っているからといって、その土地全体が電力会社所有とは限りません。
土地は個人が所有したまま、送電設備を維持するために地役権などの権利が設定されているケースがあります。
民法第280条では、地役権について、設定した目的に従って他人の土地を自己の土地の便益に利用できる権利と定めています。
送電線の場合も、土地所有者の所有権を残したまま、その上空を送電線路として利用するための権利関係が設定されることがあります。
つまり、
「土地を所有している」
ことと、
「土地・上空を何の制限もなく自由に利用できる」
ことは必ずしも同じではありません。
地役権があるかどうかは登記で確認できる?
まず確認したいのが登記事項証明書です。
不動産登記法第80条では、地役権を登記する場合、
要役地
地役権設定の目的
地役権設定の範囲
などを登記事項としています。
相続した土地の上に送電線が通っている場合は、登記事項証明書を確認して、
地役権という記載があるか
どのような目的か
土地全部か一部か
などを確認しましょう。
過去の地役権設定契約書や電力会社から届いた資料が残っていれば、それも重要な手掛かりです。
「高圧線がある=家を建てられない」ではない
送電線が近くにあるというだけで、一律に住宅建築が禁止されるわけではありません。
実際、関西電力送配電では、送電線付近で建築事業や土地鑑定などを予定する人を対象に、**「建築可能高さ照会」**の手続きを設けています。
これは、送電線の位置と建築計画との関係を確認し、利用できる高さを個別に調べる必要があることを意味します。
したがって、
「隣の家が3階建てだから、自分も3階建てにできる」
とも、
「送電線の下だから建築できない」
とも、現地を見ただけでは判断できません。
なぜ建築できる高さに影響する?
送電線と建築物の間には、安全上必要な離隔を確保する必要があります。
経済産業省が公開している電気設備の技術基準の解釈でも、特別高圧架空電線と建造物・工作物が接近または交差する場合について、電圧や施設状況に応じた離隔等の技術基準が定められています。
そのため、
建物の高さ
屋根の形状
建築位置
送電線との水平位置
送電線の電圧
などによって条件が変わります。
売却時に買主が3階建て住宅や収益物件などを検討しているなら、用途地域の高さ制限だけでなく、送電線との関係も確認する必要があるということです。
土地は広いのに希望する建物が建たないこともある?
例えば300㎡の土地があり、用途地域・建ぺい率・容積率だけを見ると比較的大きな建物を建てられそうだったとします。
しかし敷地上空を送電線が横断していて、建築可能高さを確認すると計画していた建物との調整が必要になる場合があります。
その結果、
3階建てから2階建てへ変更する
建物位置をずらす
収益物件の規模を変更する
といった検討が必要になる可能性があります。
つまり土地を見るときは、
「何㎡あるか」という平面的な広さだけでなく、「上空をどこまで利用できるか」も価格や利用方法に影響する場合がある
ということです。
地役権が設定された土地で建築するときは?
地役権の内容によっては、開発や建築に関して電力会社との確認・手続きが必要になる場合があります。
関西電力送配電では現在、地役権設定土地について、
地役権証明書
開発行為に関する同意書
農地転用等に関する同意書
建築可能高さ照会
などの手続きを設けています。
したがって、登記に地役権がある場合は、単に登記内容を見るだけでなく、具体的な建築計画でどのような確認が必要になるのかまで調べることが重要です。
敷地内や隣に鉄塔がある場合は?
送電線が上空を通るだけでなく、敷地内や隣接地に送電線鉄塔がある物件もあります。
この場合は、
鉄塔用地は誰の土地か
自分の土地との境界はどこか
地役権の範囲はどこか
点検・維持管理に関する条件はあるか
などを確認します。
関西電力送配電でも、変電所や送電線鉄塔などの所有地と隣接する土地について、境界確認や境界確認書交換の手続きを設けています。
「鉄塔が敷地内にあるように見える」という外観だけで判断せず、公図・登記・境界資料を合わせて確認しましょう。
相続した土地では昔の補償契約にも注意
相続した土地では、
「祖父の代に電力会社と契約したらしい」
「送電線ができたときに補償を受けたと聞いている」
というケースもあります。
実際、関西電力送配電では送電設備を整備する際、土地所有権を取得するほか、必要に応じて地役権・地上権などの権利を取得する仕組みがあります。
ただし、送電線がある土地だから毎年一定の補償金を受け取れるという意味ではありません。
いつ、どのような権利を設定し、どのような対価・補償条件としたかは個別の契約によって異なります。
そのため相続物件では、
登記事項証明書
地役権設定契約書
補償関係書類
電力会社からの通知
などが残っていないか確認します。
高圧線・送電線がある土地は売却できる?
売却できる可能性があります。
売却そのものが一律に禁止されるわけではありません。
ただし買主は、
送電線が敷地のどこを通るか
地役権があるか
利用制限の範囲
建築可能な高さ
鉄塔との位置関係
などを確認します。
そのため、
「高圧線があるから価値がない」
と考えるのも、
「今普通に家が建っているから何も問題ない」
と考えるのも早いといえます。
一般的な2階建て住宅として利用する場合と、3階建て・共同住宅などを建築したい場合では、同じ送電線でも買主への影響が違う可能性があります。
[YouTube動画挿入位置]
マイダスが考える送電線のある土地の確認順序
株式会社マイダスでは、このような土地について、
「送電線がある=売れない」
と判断するのではなく、
①登記事項証明書で地役権を確認する
②公図・現地で送電線と鉄塔の位置を確認する
③地役権の目的・範囲を確認する
④建築可能高さを確認する
⑤現在の建物利用と将来の建替えを分けて考える
⑥その条件を踏まえて売却価格を検討する
という順番で整理することが重要だと考えています。
現時点では、マイダス公式サイト上で**「送電線の地役権が設定された大阪府内の土地を買い取った」と明記した個別成約事例は確認できなかったため、実在しない事例は掲載していません。**
よくある質問
送電線の下でも家を建てられますか?
一律に建築できないわけではありません。送電線との位置関係、安全上必要な離隔、地役権の内容などによって条件が異なります。関西電力送配電では建築可能高さ照会を受け付けています。
地役権が登記されていたら土地は売れませんか?
売却できる可能性があります。ただし地役権は土地利用に関係するため、その目的・範囲と建築等への影響を確認して買主へ説明することが重要です。
高圧線があると土地価格は必ず下がりますか?
一律に何%下がるという基準はありません。建築制限の程度、地役権の範囲、土地の立地・形状・需要などによって市場での評価は異なります。
登記に地役権がないなら送電線は関係ありませんか?
必ずしもそうとは限りません。過去の契約など別の条件が関係する可能性もあるため、送電線が敷地上空を通っている場合は、登記・過去の書類とあわせて電力会社へ確認する方法があります。
昔受け取った補償金を買主も受け取れますか?
一律には判断できません。地役権設定時の対価なのか、別の補償なのかなど契約内容によって異なります。過去の契約書を確認しましょう。
まとめ
大阪市、堺市、東大阪市、八尾市、枚方市、寝屋川市、交野市、四條畷市、高槻市、茨木市などには、住宅地や郊外を大きな送電線が通っている地域があります。
しかし、
「送電線がある=建築できない」
でも、
「地役権がある=売れない」
でもありません。
重要なのは、
送電線がどこを通っているのか
地役権がどの範囲に設定されているのか
どこまでの高さの建物を計画できるのか
買主の利用方法にどの程度影響するのか
を具体的に確認することです。
株式会社マイダスでは、送電線・地役権など特殊な条件がある土地をはじめ、再建築不可、無道路地、旗竿地、私道、狭小地、変形地、市街化調整区域、借地・底地など、通常より調査項目が多い不動産についてもご相談いただけます。
「高圧線がある」という見た目だけで土地の価値を決めず、登記・権利・建築可能高さを分けて確認する。
これが、送電線が上空を通る土地を売却するときに重要な第一歩です。
査定無料・秘密厳守。仲介、買取、現状渡し、有償引取など、土地の権利関係と利用条件を確認しながら、物件に合った整理方法をご提案します。





