「相続した実家を建て替えようとしたら、河川保全区域だと言われた」
「自分の土地なのに、建物を建てる前に河川管理者の許可が必要なの?」
「川沿いの土地は売却しにくい?」
川の近くにある住宅では、洪水ハザードだけでなく、河川法による土地利用の規制を確認しなければならないことがあります。
結論からいうと、河川区域・河川保全区域に入っているという理由だけで、不動産が売却できなくなるわけではありません。
ただし、
どの区域に入っているのか
建替えに許可が必要なのか
盛土・掘削に制限があるのか
敷地のどの部分まで指定されているのか
を確認しておくことが重要です。
河川区域と河川保全区域は何が違う?
河川区域とは?
河川区域とは、河川を管理するために必要な区域です。
一般的には、水が流れている部分だけでなく、堤防や護岸、河川敷などを含みます。国土交通省も、通常水が流れる土地、堤防などの河川管理施設、その間の土地などを河川区域として説明しています。
河川区域内では、土地の占用、工作物の新築・改築、土地の掘削などについて河川法上の許可が必要になる場合があります。兵庫県でも河川区域内の占用や工事について許可手続きを案内しています。
河川保全区域とは?
河川保全区域は、河川区域に隣接する土地のうち、河岸や堤防などの河川管理施設を守るために河川管理者が指定する区域です。
住宅地の中に普通の宅地として存在していても、河川保全区域に指定されている場合があります。
川から何メートルまでが河川保全区域?
河川ごとに異なります。
河川法第54条では、河川保全区域は河岸・河川管理施設を守るために必要な最小限の区域とし、原則として河川区域の境界から50mを超えて指定しないとされています。
ただし、地形・地質などから必要やむを得ない場合には50mを超える指定も可能です。
そのため、
「川から20mなら大丈夫」
「50m以内なら全部河川保全区域」
と距離だけで判断することはできません。
実際にその土地が指定区域へ入っているかを確認する必要があります。
河川保全区域では建替えできない?
建築が一律に禁止されているわけではありません。
ただし河川法第55条では、河川保全区域内で、
土地の掘削
盛土・切土
その他土地の形状変更
工作物の新築・改築
を行う場合、原則として河川管理者の許可が必要とされています。
住宅を建て替える場合には、
基礎を掘る
建物を新築する
擁壁を設置する
土地を造成する
といった工事が関係するため、通常の建築確認とは別に河川法上の確認が必要になる可能性があります。
小さな工事でも全部許可が必要?
一定の軽微な行為には例外があります。
河川法施行令第34条では、河川管理施設の敷地から5mを超える土地について、一定条件のもと、
地表から3m以内の盛土
地表から1m以内の掘削・切土
一定の木造・軽量鉄骨・ブロック造等の工作物
などを許可不要とする規定があります。
ただし、建物の構造、工事内容、堤防からの距離などによって判断が変わります。
「木造住宅だから許可不要」と自己判断しないことが重要です。
今家が建っているなら、同じ家に建替えられる?
同じ建物をそのまま再建築できるとは限りません。
現在の住宅が何十年も問題なく使用されていても、
現在の建築基準法
用途地域
接道条件
河川法
などを改めて確認する必要があります。
つまり、
「今家があること」と「取り壊した後に同じ建物を建てられること」は別問題
です。
売却する際も、現在の住宅として利用できるかだけでなく、買主が将来建替える場合の条件を整理しておくことが重要です。
兵庫県で河川保全区域かどうか調べるには?
兵庫県では、一級河川・二級河川について、河川保全区域の有無と所管する土木事務所を公開しています。
ただし、「その河川に河川保全区域がある」と分かっただけでは、自宅敷地が区域内かどうかまでは判断できません。
例えば宝塚市・伊丹市・川西市・三田市・猪名川町を所管する宝塚土木事務所では、確認したい場所を地図上に明示して問い合わせる方法を案内しています。
神戸市、西宮市、尼崎市、姫路市、明石市などについても、対象河川の管理者・所管窓口を確認して個別に調査します。
洪水ハザードマップと河川保全区域は同じ?
別の情報です。
洪水ハザードマップは、大雨によって河川が氾濫した場合の浸水範囲・浸水深などを示す防災情報です。
神戸市も、主要河川が一定規模の大雨で氾濫した場合に想定される浸水範囲・水深を洪水ハザードマップとして公開しています。
一方、河川保全区域は、堤防・河岸などの河川管理施設を保全するための法律上の指定区域です。
したがって、
洪水ハザード
+
河川法上の区域指定
を別々に確認する必要があります。
ハザードマップで色が付いていないから河川保全区域ではない、とは判断できません。
河川保全区域の家・土地は売却できる?
売却できる可能性があります。
ただし買主にとっては、
敷地の全部か一部か
建替えに許可が必要か
どの程度の掘削が可能か
擁壁や造成工事に条件があるか
現在取得している河川法上の許可があるか
といった情報が重要になります。
既存の許可がある場合には、売却・相続等に伴って権利譲渡や地位承継に関する手続きが関係することもあります。兵庫県の各土木事務所でも、河川法許可に関して権利譲渡承認申請や地位承継届の様式を設けています。
川沿いの土地は必ず安くなる?
一律には決まりません。
河川保全区域であっても、
敷地の一部分だけが対象
許可条件を整理すれば建替え可能
現在の住宅をそのまま利用できる
といった物件があります。
一方、
敷地全体が区域内
大規模な掘削が必要
高低差や擁壁もある
洪水リスクも高い
といった条件が重なると、買主が慎重になる可能性があります。
そのため、「川沿い」という言葉だけではなく、具体的な利用制限まで確認して価格を考えることが重要です。
[YouTube動画挿入位置]
マイダスが考える川沿い物件の確認順序
株式会社マイダスでは、川沿いの土地について、
「河川保全区域だから売れない」
と判断するのではなく、次の順番で整理することが重要だと考えています。
①対象河川と河川管理者を確認する
②河川区域・河川保全区域への該当範囲を確認する
③現在の建物に関する許可・資料を確認する
④建替えや造成時に必要な許可を確認する
⑤洪水ハザード情報を別途確認する
⑥現在利用した場合と建替えた場合の価値を分けて考える
現時点では、マイダス公式サイト上で「河川保全区域に該当する兵庫県内の物件」を明記した個別の買取事例は確認できなかったため、実在しない事例は掲載していません。
よくある質問
河川保全区域なら家を建てられませんか?
一律に建築禁止ではありません。工作物の新築や土地の形状変更について河川法第55条の許可が必要になる場合があります。一部の軽微な行為には許可不要の例外もあります。
川から何メートルまでが河川保全区域ですか?
河川ごとに指定範囲が異なります。法律上は原則として河川区域境界から50m以内の必要最小限の範囲ですが、例外もあります。実際の指定区域は河川管理者へ確認します。
河川保全区域と洪水浸水想定区域は同じですか?
違います。河川保全区域は河岸・堤防等を守るための河川法上の区域で、洪水浸水想定区域は洪水時の浸水リスクを示す防災情報です。
河川保全区域の土地でも査定できますか?
可能です。区域の範囲、建築・造成条件、道路、高低差、洪水リスクなどを確認したうえで査定します。
現在家が建っていれば、建替えも問題ありませんか?
必ずしもそうではありません。建替え時には現在の建築基準と河川法上の制限を確認する必要があります。
まとめ
兵庫県で川沿いの住宅や土地を売却するときは、洪水リスクだけでなく、
河川区域なのか
河川保全区域なのか
敷地のどこまで指定されているのか
建替え・掘削・盛土に許可が必要なのか
まで確認することが重要です。
神戸市、西宮市、尼崎市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、明石市、加古川市、姫路市などには大小さまざまな河川がありますが、同じ川沿いでも指定状況は同じとは限りません。
兵庫県も河川ごとに河川保全区域の有無と所管土木事務所を公開しているため、所在地を特定したうえで個別に確認することが大切です。
株式会社マイダスでは、河川保全区域にかかる土地をはじめ、高低差・擁壁、土砂災害警戒区域、再建築不可、無道路地、旗竿地、市街化調整区域など、一般的な不動産より確認項目が多い物件についてもご相談いただけます。
「川の近くだから売れない」と考えるのではなく、「どの区域に入り、どの工事にどの許可が必要なのか」を具体的に確認する。
これが、川沿いの不動産を売却するときに重要な第一歩です。
査定無料・秘密厳守。仲介、買取、現状渡し、有償引取など、河川法・道路・建築条件を確認しながら、物件に合った整理方法をご提案します。





