「自宅の地下にトンネルが通っているらしい」
「登記を確認したら“地上権”という見慣れない権利が出てきた」
「地下に鉄道があっても、この土地は売却できる?」
土地を所有していると、地面だけでなく地下もすべて自由に使えるように感じるかもしれません。
民法では土地の所有権は法令の制限内で土地の上下に及ぶとされていますが、その地下の一定範囲だけに別の権利が設定されていることがあります。
その代表例が区分地上権です。
結論からいうと、区分地上権が設定されているという理由だけで、土地が売却できなくなるわけではありません。
ただし、
地下のどこに権利が設定されているのか
何の施設があるのか
地上の建築にどんな制限があるのか
杭・地下室・建替えに影響するのか
を確認することが重要です。
区分地上権とは?
民法第269条の2では、地下または空間について、工作物を所有するために上下の範囲を定めて地上権を設定できると定めています。
これが一般に「区分地上権」と呼ばれる権利です。
例えば、
地上部分 → 土地所有者が住宅として利用
地下部分 → 鉄道・トンネル等として利用
というように、一つの土地を立体的に利用できます。
「地下○mから○mまで」といった範囲に権利を設定できるのが特徴です。
区分地上権がある土地でも売却できる?
売却できる可能性があります。
区分地上権が存在すること自体によって、土地の売買が一律に禁止される制度ではありません。
ただし、買主は区分地上権が存在する状態で土地を取得することになるため、
誰が権利者なのか
何を所有するための権利なのか
地下のどの範囲なのか
地上利用にどのような制限があるのか
を確認する必要があります。
相続した土地で登記内容を詳しく把握していない場合は、まず登記事項証明書の権利部を確認し、「地上権」などの記載がないか調べます。
過去の契約書や補償関係の書類、図面などが残っていれば、それらも重要な資料になります。
地上に普通の家が建っていても制限がある?
あります。
民法第269条の2では、区分地上権を設定するときに、その権利を行使するため土地の使用へ制限を加えることもできるとされています。
そのため物件によっては、
一定の深さを超えて掘削しない
杭を地下施設へ影響する深さまで施工しない
地下室の位置・深さを確認する
一定規模以上の建物では事業者と協議する
といった条件が関係する可能性があります。
重要なのは、
「区分地上権がある=建築できない」
ではなく、
「その区分地上権が、予定している建物へどの程度影響するか」
を確認することです。
区分地上権があると土地の価値は必ず下がる?
一律には決まりません。
国税庁も相続税・贈与税の土地評価において、区分地上権が設定された宅地は、設定契約による土地利用制限の程度を考慮して評価する仕組みを設けています。
2026年4月1日現在の国税庁の説明では、地下鉄等のトンネル所有を目的として設定された区分地上権について、一定の場合に区分地上権の割合を30%として評価できるとしています。
ただし、これはあくまで相続税等の評価方法です。
実際の売却価格が必ず30%下がるという意味ではありません。
一般的な木造住宅にはほとんど影響しない深さなのか、高層建物の杭や地下室に影響するのかなどによって市場での評価は変わります。
「地下鉄が通っている=区分地上権」ではない
ここは特に重要です。
地下に地下鉄、道路トンネル、河川施設などが存在しているからといって、すべての土地に区分地上権が設定されているわけではありません。
事業の種類や建設時期、地下の深さなどによって権利の仕組みは異なります。
その代表例が大深度地下使用制度です。
大深度地下とは?
大深度地下使用法では、大深度地下を、
①地表から40m以深
または、
②支持地盤の最も浅い部分から10m以深
のうち、より深い方としています。
対象となるのは道路、河川、鉄道、上下水道などの公共性が高い事業です。
近畿圏では大阪府・兵庫県・京都府・奈良県の一定地域が制度の対象となっています。
大深度地下使用法による認可は、通常の区分地上権を設定して地下を利用する方法とは異なる制度です。
そのため、
「地下に公共施設があるのに登記簿に区分地上権が見当たらない」
ということもあり得ます。
大阪には地下65~86mを通る「地下河川」がある
大阪で実際に大深度地下制度が利用されている例が、寝屋川北部地下河川です。
国土交通省は2019年3月18日、大阪府が進める寝屋川北部地下河川の一部区間について、大深度地下使用法に基づく使用認可を行いました。
認可申請時の事業区域には、
大阪市都島区で地下約71~86m
大阪市城東区で地下約65~85m
などの非常に深い区間が含まれています。
地上には住宅や道路が存在していても、そのはるか地下を大規模な河川施設が通る場所があるということです。
このような大深度地下事業では、通常の区分地上権とは異なる法律上の仕組みで地下を使用しています。
相続した土地では「地上権」の文字だけで判断しない
親や祖父母から相続した土地では、
「昔、鉄道会社から補償金を受け取ったらしい」
「何十年前かに地下工事の契約をしたと聞いた」
という程度しか分からないこともあります。
その場合は、
登記事項証明書
区分地上権設定契約書
補償契約書
地下施設の図面
事業者から届いた書類
などを確認します。
また、「地上権」と記載されていても、一般的な地上権なのか区分地上権なのかを確認する必要があります。
地役権など、別の権利が設定されている場合もあります。
建替えを考えるなら「地下何メートルか」が重要
区分地上権のある土地で買主が特に気にするのが建替えです。
例えば一般的な住宅と、
地下室のある住宅
重量の大きな建物
高層建物
深い杭基礎が必要な建物
では、地下施設との関係が異なります。
そのため売却するときは、
「地下にトンネルがあります」
だけで終わらせず、
どの深さにあるのか
どの範囲を通っているのか
建築についてどのような制限があるのか
まで整理すると、買主が土地利用を判断しやすくなります。
[YouTube動画挿入位置]
マイダスが考える区分地上権のある土地の確認順序
株式会社マイダスでは、このような特殊な権利がある土地について、
「地上権があるから売れない」
と判断するのではなく、
①登記事項証明書で権利を確認する
②権利者と目的を確認する
③地下の上下・平面的な範囲を確認する
④土地利用に関する制限を確認する
⑤現在の住宅利用と将来の建替えへの影響を分けて考える
⑥その条件を踏まえて売却方法を比較する
という順番で整理することが重要だと考えています。
株式会社マイダスでは以前から地上権など特殊な土地の権利関係について情報を発信していますが、現時点で公式サイト上に**「区分地上権が設定された大阪府内の土地を買い取った」と明記した個別事例は確認できなかったため、実在しない成約事例は掲載していません。**
よくある質問
区分地上権が登記されていても土地は売却できますか?
売却できる可能性があります。ただし、地下の範囲、権利者、利用制限などを確認し、買主が取得後の土地利用を判断できる状態にしておくことが重要です。
地下に地下鉄があると家を建てられませんか?
一律に建築できないわけではありません。地下施設の深さ、区分地上権等の内容、杭や地下室の計画によって異なるため、具体的な建築計画に応じて事業者や建築士等へ確認します。
地下鉄が通っていれば必ず登記簿に区分地上権がありますか?
必ずしもそうではありません。大深度地下使用法など、通常の区分地上権とは異なる仕組みで公共施設が設置されているケースがあります。
区分地上権があると土地価格は30%下がりますか?
そのような意味ではありません。国税庁の30%という扱いは一定の場合の相続税・贈与税評価上の取り扱いです。市場での売却価格は、実際の利用制限や立地、需要などを含めて決まります。
まとめ
大阪府で土地や中古住宅を売却するとき、確認する権利は所有権や抵当権だけとは限りません。
大阪市、東大阪市、守口市、門真市、寝屋川市、吹田市、豊中市、堺市など都市部では、地下にも、
地下鉄
道路トンネル
地下河川
上下水道施設
など、さまざまな都市施設があります。
ただし、
「地下施設がある=区分地上権」
でも、
「区分地上権がある=売却できない」
でもありません。
まず確認したいのは、誰が、何の目的で、地下のどの範囲を利用し、それによって地上の土地利用がどの程度制限されるのかです。
株式会社マイダスでは、区分地上権など特殊な権利が設定された土地をはじめ、借地・底地、共有不動産、再建築不可、無道路地、旗竿地、狭小地、変形地など、一般的な不動産より権利・利用条件の確認が必要な物件についてもご相談いただけます。
「地下にトンネルがある」という言葉だけで価値を判断するのではなく、権利の種類・深さ・土地利用への具体的な影響を確認する。
これが、区分地上権などが関係する土地を売却するときに重要な第一歩です。
査定無料・秘密厳守。仲介、買取、現状渡し、有償引取など、登記と土地利用条件を確認しながら、物件に合った整理方法をご提案します。





