「住宅ローンの金利が上がったと聞くけれど、毎月の引き落とし額は同じ」
「返済額が増えていないなら、まだ影響はないのでは?」
変動金利で住宅ローンを返済している方の中には、このように感じている方もいるでしょう。
しかし、毎月の返済額が変わっていなくても、金利上昇の影響をすでに受けている場合があります。
その理由の一つが、一部の変動金利型住宅ローンで採用されている、
「5年ルール」
「125%ルール」
です。
日本銀行も2026年8月、既存の変動金利型住宅ローンでは、金利変更の反映に時間差があり、5年ルールなどによって毎月返済額が変わる時期はさらに後になる場合があると説明しています。
今回は和歌山県を中心に、変動金利で住宅ローンを返済している方が確認しておきたいポイントを解説します。
5年ルールとは?
5年ルールとは、一部の変動金利・元利均等返済で採用されている、金利が変わっても返済額を一定期間据え置く仕組みです。
例えば金利が上昇しても、
毎月10万円
↓
すぐ11万円
となるのではなく、一定期間は10万円のままということがあります。
ただし、返済額が同じでも中身は変わります。
金利が上がると、
利息部分が増える
元金へ充てられる部分が減る
ということが起こります。
毎月10万円でも「元金の減り方」が違う
例えばイメージとして、
金利上昇前
元金7万円+利息3万円
だった返済が、
金利上昇後
元金6万円+利息4万円
になるような状態です。
実際の金額はローン残高・適用金利・返済期間によって異なります。
大切なのは、
「引き落とし額が同じ=住宅ローンの状況も同じ」ではない
ということです。
125%ルールとは?
5年ルールによる返済額の見直し時に、返済額が急激に増えることを抑える仕組みが125%ルールです。
例えば、それまで月10万円だった場合、
10万円×125%=12万5,000円
となり、次の返済額は原則12万5,000円を上限として見直されます。
しかし、
それを超える負担がなくなるという意味ではありません。
125%ルールは返済額の急増を緩和する仕組みであって、金利上昇によって発生する利息を免除する制度ではありません。
【お役立ち情報】紀陽銀行にも5年・125%ルールがある
和歌山県で利用されている紀陽銀行の住宅ローンでも、公式の住宅ローン基礎知識で変動金利の返済額見直しルールが案内されています。
変動金利では金利を年2回見直し、新しい利率を7月・翌年1月の返済分から適用する仕組みです。
一方、返済額については、変動金利開始後から10月1日を5回経過するまでの約5年間は原則見直さず、その後の新返済額も前回返済額の125%を上限としています。
つまり、
金利の見直し
と、
毎月返済額の見直し
は同じタイミングとは限りません。
住宅ローンを紀陽銀行で利用している方も、毎月の引落額だけでなく、現在の適用金利と元金残高を確認してみましょう。
未払利息が発生することもある?
5年ルールがある住宅ローンでは、金利が大きく上昇すると、毎月返済額より利息が大きくなる場合があります。
紀陽銀行も、返済額を超える利息が生じた場合には未払利息として次回以降へ繰り延べられる仕組みを案内しています。
この状態になると、毎月返済していても元金が減らない場合があります。
さらに、元金や未払利息が最終返済期日まで残れば、残額を最終回に支払う必要が生じる可能性があります。
したがって、
「返済額が増えていないから安心」
とは限らないのです。
すべての変動金利に5年ルールがある?
ありません。
ここは非常に重要です。
例えばPayPay銀行やSBI新生銀行では、住宅ローンについて5年ルール・125%ルールを採用していないことを明示しています。
そのような商品では、適用金利が変わると返済額もそれに応じて見直されます。
また同じ金融機関でも、
借入時期
住宅ローン商品
元利均等返済・元金均等返済
などによって取扱いが異なる場合があります。
そのため、
「変動金利なら5年間は返済額が変わらない」
と一律に考えないでください。
最終的には自分の契約書・商品説明書・返済予定表を確認します。
今確認したいのは「毎月いくら払っているか」だけではない
変動金利の住宅ローンでは、次の項目を確認しておきましょう。
現在の適用金利
現在のローン残高
毎月返済額のうち元金はいくらか
利息はいくらか
次回の金利見直し時期
次回の返済額見直し時期
5年・125%ルールがある商品か
特に以前の返済予定表が残っていれば、元金部分がどのように変化しているか比較してみると分かりやすくなります。
マイダス独自目線①「返済額」より「残高の減り方」も見る
住宅ローン返済中は、
「毎月10万円払えている」
という点だけを見がちです。
しかし不動産売却を考える場合に重要なのは、
今いくら残っているか
です。
金利上昇によって元金の減少ペースが遅くなれば、数年後に売却するときの住宅ローン残高にも影響します。
ローン残高と自宅の査定価格を比較する
例えば、
住宅ローン残高 2,000万円
売却価格の目安 3,000万円
なら、諸費用を考慮する必要はありますが、売却代金でローン完済を検討しやすい状態です。
一方、
住宅ローン残高 3,000万円
売却価格の目安 2,400万円
なら、売却代金だけでは完済できない可能性があります。
この場合は自己資金の準備なども含めて検討します。
マイダス独自目線② 「金利がもっと上がったら売る」ではなく今の数字を知る
売却するかどうかは、今すぐ決めなくても構いません。
しかし、
現在のローン残高
と、
現在の不動産価格
は確認できます。
金利や返済額がさらに変わったときに初めて査定するより、現在の数字を基準として把握しておけば判断しやすくなります。
【お役立ち情報】返済が厳しくなりそうなら延滞前に相談
住宅ローンの返済に不安がある場合は、借入先金融機関へ早めに相談することも重要です。
全国銀行協会相談室では、経済的な事情などで住宅ローン等の返済が困難になっている個人向けに、無料のカウンセリングサービスを実施しています。
家計状況を確認したうえで、返済条件変更の検討や、必要に応じた相談機関の案内を行っています。
「返済できなくなってから」ではなく、返済が遅れる前に相談することが大切です。
よくある質問
Q. 返済額が同じなら金利は上がっていないのですか?
そうとは限りません。
5年ルールのある商品では、適用金利が上昇していても毎月返済額が変わらず、利息割合だけが増えている場合があります。
Q. 125%ルールがあれば安心ですか?
返済額の急増を抑える仕組みですが、利息負担そのものを減らすものではありません。
Q. 5年ルールはすべての変動金利にありますか?
ありません。
金融機関・住宅ローン商品・返済方法によって異なります。
Q. 住宅ローンが残っていても家を売れますか?
売却できる可能性があります。
一般的には決済時に住宅ローンを完済し、抵当権を抹消して買主へ所有権を移転できるよう準備します。
まとめ
和歌山市、岩出市、紀の川市、海南市などで変動金利の住宅ローンを利用している方は、
「毎月の返済額が変わっていないから影響はない」
と判断しないことが大切です。
確認したいのは、
適用金利
元金と利息の内訳
ローン残高
返済額見直し時期
5年・125%ルールの有無
です。
日本銀行も、既存の変動金利型住宅ローンでは、金利上昇が適用金利、そして毎月返済額へ反映されるまでに時間差が生じることを説明しています。
株式会社マイダスの公式サイトでも、住宅ローン残債がある一戸建てなどを相談・買取対象として案内しています。
今すぐ家を売る予定がなくても、
「現在のローン残高はいくらか」
「今売った場合はいくらくらいになるか」
の2つを確認しておくことで、今後の選択肢を考えやすくなります。
返済額だけを見るのではなく、住宅ローンの中身と不動産の現在価値を一緒に確認する。
それが、変動金利の時代に住宅ローンと不動産を考えるうえで大切なポイントです。





