「相続した実家の公図を取ったら、敷地の真ん中に細長い土地がある」
「庭として使っている部分が、昔の里道だと言われた」
「道路と家の間に水路があるが、このまま売却できるの?」
古くからある住宅地では、現在の街並みだけを見ても分からない「昔の道」や「水路」が公図上に残っていることがあります。
こうした土地は法定外公共物と呼ばれることがあります。
結論からいうと、里道や水路が関係しているからといって、その土地が売却できないと決まるわけではありません。
ただし、
誰が所有・管理しているのか
現在も道路・水路として機能しているのか
建築基準法上の接道にどう影響するのか
敷地への出入りに許可が必要なのか
用途廃止・払い下げを検討できるのか
を確認する必要があります。
里道・水路とは?
里道とは、昔から地域住民の通行などに使われてきた道のうち、道路法の適用を受けないものなどを指します。
同じように、農業用水などとして使われてきた水路のうち、河川法などの適用を受けないものがあります。
このような道路・水路が一般に「法定外公共物」と呼ばれます。
旧公図では里道を赤色、水路を青色で表示していたことから、
赤道・赤線
青道・青線
と呼ばれることもあります。
財務局も、旧法定外公共物の代表例として機能を失った旧里道・旧水路を挙げています。
現地に道も水路もないのに、公図には残っていることがある?
あります。
昔は人が通っていた里道でも、
周囲に住宅が建った
別の道路が整備された
長期間利用されなくなった
などの理由で、現在は庭や駐車場のように見えることがあります。
水路も暗渠化されたり、長年使われなくなったりして、現地では存在が分からないケースがあります。
そのため、
「何十年も庭として使っているから自分の土地だろう」
と見た目だけで判断することはできません。
公図、登記事項証明書、地積測量図、境界資料、自治体の管理資料などを確認します。
里道・水路がある土地は売却できる?
売却できる可能性があります。
ただし、里道や水路が敷地の中央を横切っている場合などは、買主が土地をどのように利用できるか確認する必要があります。
例えば、
「この部分に建物を建てられるのか」
「敷地を一体として利用できるのか」
「水路を越えて車で出入りできるのか」
「将来建て替えできるのか」
といった点です。
問題は「里道や水路があること」そのものより、所有者・管理者と利用条件が分からない状態にあることです。
現在も使われている里道・水路は誰のもの?
法定外公共物のうち、現在も道路・水路として公共的な機能を持つものについては、地方分権に伴って多くが市町村へ譲与され、市町村が管理しています。
一方、すでに公共物としての機能を失い、市町村へ譲与されなかった旧里道・旧水路については、国の財務局・財務事務所が管理している場合があります。
つまり、
「里道だから市役所へ行けばすべて分かる」
とは限りません。
最初に所有者・管理者を確認することが重要です。
里道があれば建築基準法上の「道路」に接していることになる?
必ずしもなりません。
ここは不動産売却で特に重要です。
「公図に道があること」と「建築基準法上の道路であること」は別の問題です。
神戸市でも、道路法上の道路ではない場所について、法定外公共物や神戸市名義の土地として市が管理している場合があると案内しています。
一方、建築基準法上の道路種別については別途確認する必要があり、神戸市では指定道路情報をインターネットで確認できます。
兵庫県も建築基準法第42条の指定道路情報を公開していますが、神戸市・尼崎市・姫路市・西宮市・明石市など一部の市は県GISの対象外で、それぞれの自治体で確認する必要があります。
したがって、
「里道がある=接道している」
とは判断しないことが大切です。
水路の上に橋を架けて家へ入っている場合は?
道路と住宅の間に水路があり、その上に橋やコンクリート板を設置して出入りしている住宅もあります。
この場合も、昔から使っているという理由だけで自由に使用できるとは限りません。
神戸市では、河川や水路へ橋を架けるなど、特定の人が使用する場合には管理者への手続きが必要と案内しています。
売却時には、
現在の橋に許可があるのか
誰が管理している水路なのか
所有者が変わった場合にどのような手続きが必要か
を確認しておくと買主も判断しやすくなります。
使われていない里道・水路は買い取れる?
一定条件を満たせば可能な場合があります。
例えば姫路市では、市が管理する里道・水路について、
長年公共物としての機能を失っている
将来も機能回復の必要がない
代替施設が設置されている
など一定の条件を満たす場合、行政財産としての用途を廃止し、隣接土地所有者へ払い下げる制度があります。
イメージとしては、
里道・水路
↓
公共物として必要か確認
↓
用途廃止
↓
払い下げ
↓
隣接所有者が取得
という流れです。
ただし、申請すれば必ず取得できるわけではありません。
現在も通行・排水などの機能が残っていれば、用途廃止できないことがあります。
国が所有している旧里道・旧水路を買える場合もある
財務局が管理する旧法定外公共物についても、境界を確定したうえで購入手続きを検討できる場合があります。
財務局では、機能を失った旧里道・旧水路が現に住宅敷地などとして使用されている場合、使用者への売却を行う場合があると案内しています。
そのため、公図に細長い土地が見つかった場合は、
市有地なのか
国有地なのか
現在も公共機能があるのか
を先に確認しましょう。
売却前に確認したい5つのポイント
1.公図と登記を確認する
まず、自分の所有地と里道・水路の位置関係を整理します。
2.現在も機能しているか確認する
現地で道・排水路として使われているかを確認します。
3.所有者・管理者を確認する
市町村なのか、国なのかによって相談先が変わります。
4.接道・建築への影響を確認する
里道だから建築基準法上の道路とは限りません。建替え予定がある場合は道路種別も確認します。
5.現状売却と払い下げ後の売却を比較する
用途廃止・払い下げには測量や隣接者の同意などが必要になる場合があります。
必ず取得してから売らなければならないとは限らないため、先に現状での売却可能性を確認することも重要です。
マイダスが考える里道・水路がある土地の整理方法
株式会社マイダスでは、里道や水路が公図に残っている土地について、
「自分の土地ではない部分がある=売れない」
とすぐ判断するのではなく、
公図・登記を確認する
所有者・管理者を確認する
現在の利用状況を確認する
接道・建築への影響を確認する
現状売却と払い下げを比較する
という順番で考えることが重要だと考えています。
現時点では、マイダス公式サイト上で「里道・水路」を理由とした兵庫県内の個別買取事例は確認できなかったため、実在しない取引事例は掲載していません。
よくある質問
里道が敷地内にあっても土地は売却できますか?
売却できる可能性があります。ただし、里道の所有者・管理者、現在の機能、敷地利用や建築への影響を整理して買主へ説明する必要があります。
里道があれば接道条件を満たしますか?
必ずしも満たしません。里道であることと建築基準法上の道路であることは別なので、道路種別を確認します。
何十年も庭として使っている里道は自分の土地ですか?
利用期間だけでは判断できません。公図、登記、境界、所有・管理関係を確認する必要があります。
使われていない里道や水路を購入できますか?
一定条件では可能な場合があります。姫路市では、公共物としての機能を失った市管理の里道・水路について用途廃止後の払い下げ制度があります。国管理の旧法定外公共物については財務局へ確認します。
まとめ
兵庫県で古い家や土地を相続し、公図に里道・水路が見つかったとしても、
「自分の土地ではない部分があるから売れない」
と決めつける必要はありません。
神戸市、西宮市、尼崎市、伊丹市、宝塚市、川西市、明石市、加古川市、姫路市などで、
敷地中央に細長い土地がある
水路を越えないと住宅へ入れない
庭として使っている部分が市有地・国有地らしい
公図と現況が一致しない
といった土地を所有している場合は、まず所有者・管理者と現在の機能を確認しましょう。
株式会社マイダスでは、里道・水路が関係する土地をはじめ、再建築不可、無道路地、私道、狭小地、変形地、借地・底地、境界問題など、一般的な不動産より条件整理が必要な物件についてもご相談いただけます。
「昔の道が残っているから売れない」のではなく、「その土地が現在どのような扱いになっているのか」を確認する。
これが、里道・水路のある不動産を整理するときに重要な第一歩です。
査定無料・秘密厳守。仲介、買取、現状渡し、有償引取など、公図・登記・道路・水路の状況を確認しながら物件に合った整理方法をご提案します。





