相続した実家を兄弟で共有しない方がいい理由
- 新着情報
- 2026/06/14
一見公平に見える「共有名義」が、後で大きな負担になることがあります
相続した実家を兄弟で共有しない方がいい理由を解説。
共有名義のままにすると起こりやすい売却・管理・相続の問題、相続登記義務化との関係、現実的な整理方法を分かりやすく整理します。
相続した実家について、兄弟姉妹で話し合いをしたときに、よく出てくるのが「とりあえず共有にしておこう」という考え方です。
一見すると平等で、誰か一人に偏らない、穏当な方法に見えます。
法務省も、相続が発生した不動産は遺産分割がまとまるまで相続人全員が法定相続分に応じて共有している状態になると案内しています。
つまり、共有そのものは相続の初期状態として自然に起こるものです。
ただし、ここで大切なのは、「共有のままにしておくこと」と「一時的に共有状態にあること」は違うという点です。
遺産分割をきちんとせず、兄弟で実家を共有名義のまま持ち続けると、売却、管理、将来の相続のすべてで調整が難しくなりやすいです。法務省が相続登記や遺産分割を進めるよう案内している背景にも、こうした不動産共有の長期化が、後の手続を複雑にしやすいことがあります。
共有名義は「平等」ではあっても「整理しやすい」とは限らない
兄弟で共有にする考え方が選ばれやすいのは、「誰か一人が得をした感じにならない」からです。
特に実家には思い出があるため、誰かだけが相続すると感情的なしこりが残るのでは、と心配されることもあります。
しかし、不動産は現金と違ってきれいに分けにくい資産です。
そのため、共有名義は一時的には公平に見えても、将来の管理や処分では「誰がどう決めるのか」がとても難しくなります。国土交通省の所有者不明土地関連資料でも、共有物を処分したり変更したりするには共有者全員の同意が必要だと整理されており、共有が増えるほど合意形成が難しくなることが分かります。
実家を売るとき、共有は大きなハードルになる
共有名義の実家で最も問題になりやすいのが、売却の場面 です。
土地や建物を売ることは、共有物の処分に当たるため、共有者全員の同意が必要になります。
国土交通省の資料でも、共有物の処分、具体的には土地の売却や権利設定の解除などには共有者全員の同意が必要だと明記されています。つまり、兄弟のうち一人でも売却に反対したり、連絡が取れなかったりすると、実家を処分しにくくなります。
しかも実家の相続では、
- 早く売って現金化したい人
- 思い出があるから残したい人
- 将来使うかもしれないと考える人
が分かれやすく、意見が一致しないことが珍しくありません。
共有はその違いを一時的に曖昧にできますが、実際には問題を先送りしているだけのことも多いです。
管理費や固定資産税の負担でも揉めやすい
共有名義の実家は、売却だけでなく維持管理の負担でも揉めやすくなります。
たとえば、誰も住んでいない実家であれば、
- 固定資産税は誰が払うのか
- 草刈りや換気は誰が行うのか
- 修繕が必要になったらどうするのか
といった問題が出てきます。
共有者が近くに住んでいるとは限らず、一人だけが実家の近くにいて管理を引き受けるようになると、不公平感が生まれやすいです。
民法改正の共有ルールに関する国交省資料では、共有物の管理は持分価格の過半数で決する場面がある一方、処分や変更には全員同意が必要であり、共有関係では決める内容によって必要な合意のハードルが異なることが示されています。
つまり、日常管理はある程度進められても、根本的な整理は結局難しいまま残りやすいのです。
一番怖いのは「次の相続」で共有者が増えること
共有名義の最大の問題は、時間がたつほど整理が難しくなることです。
兄弟で共有にしたまま何年も経つと、そのうち共有者の一人が亡くなり、さらにその持分が次の世代へ相続されます。
そうなると、最初は兄弟2人・3人の話だったものが、
- おい・めいを含む複数人共有
- 所在が分からない共有者の発生
- 相続関係図が複雑化
といった状態になりやすいです。
法務省や法務局の資料でも、遺産分割がまとまるまで法定相続分で共有状態になること、そしてその共有をそのまま登記に反映する方法もある一方で、放置すると不動産取引や管理が難しくなることが示唆されています。
共有を早めに整理しないと、次の相続でさらに複雑になるのが実務上の大きな問題です。
相続登記義務化で「とりあえず放置」がしにくくなった
2024年4月1日から相続登記は義務化されました。
法務省のQ&Aでは、相続人は不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならず、正当な理由なく行わない場合は10万円以下の過料の対象となり得ると案内されています。
この制度変更によって、「家族でまとまっていないから、まだ名義を変えない」「とりあえず法定相続分のまま共有でいい」という状態を長く続けることのリスクが高くなりました。
もちろん、法定相続分でいったん共有登記をする方法や、相続人申告登記のような簡便な手当てもあります。
ただし、法務局の資料でも、共有状態をそのまま反映することは可能でも、最終的な整理が別途必要になることが前提になっています。
つまり、相続登記義務化によって、共有をそのままにして先送りする発想は、以前より通りにくくなったと考えた方がよいです。
では、どう整理するのが現実的か
兄弟で実家を共有しない方がいい理由は分かっても、「ではどうすればよいのか」が次の悩みになります。
現実的には、次のような整理が考えられます。
1. 一人が相続して、他の相続人に代償金で調整する
実家を取得する人を一人決め、他の兄弟には現金などで調整する方法です。
不動産を分けにくい資産として扱うなら、この形は比較的分かりやすいです。
2. 売却して現金で分ける
誰も住まない、管理も難しいという場合は、売却して現金化し、分ける方が後腐れが少ないことがあります。
共有のまま残すより、最初に整理してしまう方が将来のトラブルを減らしやすいです。
3. 遺産分割協議をきちんと文書に残す
法務局の相続登記案内でも、遺産分割協議書や印鑑証明書などを用いて取得者を明確にする形が前提になっています。
口約束のまま進めるのではなく、文書で整理することが大切です。
まとめ
実家の共有は「今は平和」でも「後で重い」相続した実家を兄弟で共有しない方がいい理由は、主に次の通りです。
- 売却には共有者全員の同意が必要になる
- 管理費や固定資産税の負担で揉めやすい
- 共有のまま次の相続が起きると、さらに複雑になる
- 相続登記義務化で先送りがしにくくなった
法務省や国土交通省の資料からも、不動産共有は一時的な整理には見えても、長期的には調整コストが大きくなりやすいことが読み取れます。
つまり、共有名義は「平等に見えるが、整理しやすい方法ではない」のです。
実家を相続するときは、「とりあえず共有」に逃げるより、誰が持つのか、売るのか、どう調整するのかを最初に整理することが、将来のトラブルを減らす一番の近道になります。

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