不動産売却にかかる税金と手取りの考え方
- 新着情報
- 2026/06/06
「いくらで売れるか」より大切な、“最後にいくら残るか”の基本
不動産売却にかかる税金と手取りの考え方を解説。
譲渡所得の計算、取得費、譲渡費用、3,000万円特別控除、長期・短期譲渡の違いまで、分かりやすく整理します。
不動産を売ろうと考えたとき、多くの方が最初に気にするのは「いくらで売れるか」です。
ただ、実際にとても大切なのは、「売れたあとに、最終的にいくら手元に残るのか」という点です。
売却代金がそのまま全部残るわけではありません。
不動産売却では、仲介手数料や印紙税などの費用がかかるほか、利益が出た場合には譲渡所得に対する税金がかかることがあります。
国税庁は、土地や建物を売ったときの譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算すると案内しています。
まず知っておきたい「譲渡所得」の考え方
不動産売却で税金がかかるかどうかは、譲渡所得が出るかどうかで決まります。
譲渡所得は、ざっくり言えば売った金額 − 取得費 − 譲渡費用で計算します。
ここでいう取得費とは、その不動産を買ったときの代金や購入手数料、改良費などです。
譲渡費用とは、売るために直接かかった費用です。国税庁も、この考え方を基本として示しています。
つまり、売却価格が高くても、取得費や売却費用を差し引いた結果、税金がかからないこともあるということです。
逆に、売却価格がそれほど高くなくても、取得費が低ければ譲渡所得が大きくなることがあります。
取得費が分からないときはどうなるのか
相続した不動産や、かなり昔に購入した不動産では、取得費が分からないというケースがよくあります。
その場合、国税庁は売った金額の5%相当額を取得費とすることができる
としています。これを概算取得費といいます。
たとえば3,000万円で売った場合、取得費が分からなければ150万円を取得費として計算できます。
ただし、概算取得費は実際の購入代金よりかなり低くなることも多いため、結果として譲渡所得が大きく見えやすくなります。
そのため、昔の売買契約書や領収書、相続関係資料などが残っていれば、できるだけ確認した方が有利になる場合があります。
譲渡費用に入るもの、入らないもの
売却時の手取りを考えるうえで見落としやすいのが、どの費用が譲渡費用になるのかという点です。
国税庁によると、譲渡費用の主なものには、
- 仲介手数料
- 売買契約書の印紙税で売主負担分
- 土地を売るために建物を取り壊した場合の取壊し費用
- 測量費や立退料など、売却のために直接かかった費用
が含まれます。
一方で、修繕費や固定資産税など、その不動産の維持管理のためにかかった費用は譲渡費用にはなりません。
つまり、「売るために直接必要だった費用」かどうかがポイントです。
この違いを知らないと、手取り計算を大きく読み違えることがあります。
長期譲渡と短期譲渡で税負担は変わる
不動産売却の税金で大きいのが、所有期間による違いです。
国税庁では、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えると長期譲渡所得、5年以下だと短期譲渡所得になると説明しています。
この区分は税額に影響します。
そのため、同じ不動産を売る場合でも、売る年が変わるだけで税負担が変わることがあります。
「もう少し待てば長期になる」というケースでは、売却時期の検討が大切になることもあります。
マイホームなら3,000万円特別控除が使えることがある
不動産売却の税金で、特に知っておきたいのがマイホームの3,000万円特別控除です。
国税庁によると、自分が住んでいるマイホームを売ったときは、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。
また、すでに住まなくなった家でも、一定の要件を満たせば対象になることがあります。
この特例が使えると、譲渡所得が大きく圧縮され、税金がかからないケースも少なくありません。
ただし、使えるかどうかには要件があり、他の特例と重複できない場合もあるため、自己判断だけで決めつけない方が安全です。
10年超所有なら軽減税率の特例もある
マイホームを売る場合、所有期間が長いと軽減税率の特例が使える場合があります。
国税庁は、所有期間が10年を超える居住用財産について、一定の要件を満たせば軽減税率の特例を受けられると案内しています。
さらに、この特例は3,000万円特別控除と併用できる場合があります。
つまり、長く住んだ家を売るときは、「いくらで売れるか」だけでなく、「どの特例が使えるか」を見た方が、手取りの見通しを立てやすくなります。
手取りを考えるときに見落としやすいこと
手取りを考えるとき、売却価格から税金や費用だけを引けばよい、と考えがちです。
しかし実際には、
- 住宅ローン残債があるか
- 抵当権抹消の費用があるか
- 相続不動産なら取得費資料が残っているか
- どの特例が使えるか
で、残る金額はかなり変わります。
特に相続や共有不動産では、国税庁も共有者ごとに特例判定が行われると説明しています。
つまり、同じ不動産でも、誰がどの条件で売るかによって税金の見え方が変わることがあります。
まとめ
「売却価格」より「手取り」で考えることが大切
不動産売却では、高く売れるかどうかだけを見ると判断を誤りやすいです。
本当に大切なのは、
- 取得費はいくらか
- 譲渡費用に入るものは何か
- 所有期間は長期か短期か
- 3,000万円特別控除や軽減税率が使えるか
を確認して、最終的な手取りで考えることです。
国税庁のルールに沿って整理すると、同じ3,000万円の売却でも、取得費や特例の有無で税負担は大きく変わります。
つまり、「いくらで売れたか」より「いくら残るか」で売却を考える方が、実際には失敗が少ないです。
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