再建築不可物件は本当に売れるのか、いまの市場での見られ方
- 新着情報
- 2026/06/26
「売れない物件」と決めつける前に、何が障害なのかを整理することが大切です
再建築不可物件は本当に売れるのかを、接道義務、無接道敷地の課題、相続登記義務化、空家対策、既存住宅流通の動向をもとに分かりやすく解説します。
再建築不可物件は一般物件より条件が厳しい一方、障害を整理すれば市場につながる余地があります。
再建築不可物件について相談すると、
「難しいですね」
「一般的な売り方では厳しいです」
と断られることがあります。すると多くの方は、
「やはりこの物件は売れないのだ」
と感じます。
たしかに、再建築不可物件は一般的な中古戸建や通常の宅地より売りにくいです。
ですが、今の不動産市場で本当に起きているのは、再建築不可だから絶対に売れないということより、普通の物件と同じ売り方では合いにくいということです。
既存住宅流通シェアは2008年の29.6%から2024年には43.6%まで上昇しており、既存住宅市場そのものは広がっていますが、その中で物件条件の差はより細かく見られるようになっています。
再建築不可物件とは何か
まず押さえておきたいのは、再建築不可物件が単に古い家ではないという点です。
一般に、建築基準法上の接道義務を満たしていない敷地では、今ある建物を取り壊したあとに新たな建物を建てることが難しくなります。国土交通省の建築行政資料でも、無接道敷地は有効活用が進みにくい課題として扱われており、敷地の共同化などによる解消が検討対象とされています。
つまり再建築不可物件は、建物の古さだけではなく、法的条件の重さを抱えた不動産です。
このため、買主から見ると
- 壊したら建て直せない
- 将来の自由度が低い
- 融資がつきにくい可能性がある
- 次に売るときの出口も狭い
といった不安が出やすくなります。
再建築不可物件が売りにくいのは、違法だからではなく、買主が検討時に見るハードルが多いからです。
それでも「絶対に売れない」とは言えない
ただし、再建築不可物件は「市場の外」にあるわけではありません。
今の市場では、古い住宅や条件の弱い物件でも、価格や条件整理が合えば動く余地があります。
既存住宅流通シェアが上昇していることは、買主が新築以外の住宅を選ぶこと自体は一般化していることを示しています。
つまり、再建築不可物件でも、一般物件とは違う土俵で見れば、検討対象になる可能性はあります。
重要なのは、
再建築不可=売れない
ではなく、
再建築不可だからこそ、何が障害なのかを分けて見せる必要がある
ということです。
まず確認したいのは「本当に何が再建築不可の理由なのか」
再建築不可と言われる物件でも、その理由は一つではありません。
無接道なのか、狭あい道路との関係なのか、私道や通路の権利が曖昧なのか、連棟や敷地条件に問題があるのかで、整理の方向性は変わります。
国土交通省の資料でも、無接道敷地の解消には一律の解決策はなく、個別の敷地条件に応じた対応が必要だとされています。
つまり、「再建築不可」と一言で止まるのではなく、
何が障害かを具体的に確認すること
が重要です。
理由が分からないままでは、売主も買主も判断しにくくなります。
相続物件なら名義整理も大きな壁になる
再建築不可物件は、相続で引き継がれることも多いです。
その場合、法的な条件だけでなく、相続登記が未了であること自体が障害になることがあります。
法務省によると、相続登記は令和6年4月1日から義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。
正当な理由なく行わない場合は10万円以下の過料の可能性があります。
遺産分割が成立した場合にも、内容を反映した登記が追加で必要です。
つまり、再建築不可物件では、
物件条件の重さに加えて、権利関係の未整理も売却を難しくしやすい
のです。
「売れない」のではなく、まだ売れる状態になっていないことも少なくありません。
放置するとさらに不利になりやすい
再建築不可物件は、
「売りにくいならそのまま置いておこう」
と考えたくなることがあります。
ですが、これは必ずしも有利ではありません。
国土交通省は、管理不全空家等や特定空家等に対する措置として、市区町村長から勧告を受けた場合、その敷地について固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されると示しています。
小規模住宅用地では課税標準が1/6に減額されますが、管理状態が悪化すればこの優遇が外れる可能性があります。
再建築不可物件はもともと出口が狭いため、
長く放置して建物状態まで悪くなると、さらに買主がつきにくくなる
傾向があります。
売却を考えるなら、少なくとも管理されている状態を保つことが大切です。
どんな再建築不可物件なら市場につながりやすいのか
再建築不可物件でも、次のような条件があると市場につながる可能性があります。
- 今の建物をそのまま使う前提で需要がある
- 立地に一定の魅力がある
- 価格が現実的である
- 接道や通路、権利関係の説明ができる
- 相続登記などの名義整理が済んでいる
つまり、一般的なマイホーム層に広く売るというより、条件を理解したうえで検討する買主に届くかどうかが重要です。
今の市場は、新築と同じ条件で比べる場ではなく、再建築不可物件としての現実的な見せ方が必要な場だと言えます。
まとめ
再建築不可物件は、一般的な中古戸建や通常の土地より売りにくいのは確かです。
接道義務を満たしていないなどの法的条件があり、有効活用が進みにくいことは国土交通省も示しています。
さらに相続登記未了や管理不全が重なると、売却はより難しくなります。
ただし、それは
絶対に売れない物件
という意味ではありません。
再建築不可物件は、
普通の物件以上に、何が障害なのかを整理して見せる必要がある物件
と考える方が現実的です。
接道条件、権利関係、名義整理、建物状態、価格を順番に確認し、どこに不安があるのかをはっきりさせること。
それが、再建築不可物件を「売れない」と決めつける前にやるべきことです。
いまの市場では、条件が重い物件ほど、整理の差が売れやすさの差になりやすいと言えます。
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