長屋は再生できる?補助制度と活用事例から考える現実的な判断条件
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- 2026/09/08
古い長屋は再生できるのかを、全国の空き家統計、空家等活用促進区域、大阪市の空家利活用改修補助制度、長屋の改修事例から解説。
耐震性、権利関係、接道、改修費、地域需要を確認し、再生・売却・解体を比較するポイントを紹介します。
長屋を所有している方の中には、「建物が古く売れにくい」「空き家になったが、解体するべきか分からない」と悩んでいる方も少なくありません。
長屋は一般的な戸建てと異なり、隣接する住戸と屋根、戸境壁、基礎などがつながっていることがあります。
さらに、一棟全体を所有している場合と、連なった一戸だけを所有している場合では、改修や売却の進め方が異なります。
一方、立地、建物状態、権利関係、改修後の用途などの条件が合えば、住宅や店舗、地域の活動拠点として現在の建物を活用できる場合もあります。
長屋は「古いから再生できない」と決める建物ではありませんが、雰囲気や外観だけで再生を判断することもできません。
大切なのは、建物として直せるか、法的に使えるか、費用を回収できるか、継続して運営できるかを分けて確認することです。
全国の空き家は900万2,000戸
総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万2,000戸、空き家率は13.8%となり、いずれも過去最高でした。
ただし、この数字には戸建て、長屋、共同住宅の空室、賃貸用・売却用住宅など、さまざまな種類の住宅が含まれています。
空き家が増えていることから、活用や適正管理の必要性が高まっていることは分かりますが、長屋の再生需要や収益性を直接示す統計ではありません。
実際に再生できるかどうかは、次のような個別条件によって変わります。
- 建物の構造と劣化状況
- 一棟全体か一戸だけか
- 土地・建物の所有関係
- 接道と再建築の可否
- 入居者や隣接住戸の状況
- 改修費と改修後の収入
- 地域での住宅・店舗需要
空き家数の増加を理由に「再生すれば需要がある」と考えるのではなく、その長屋がある地域で実際に使い道があるかを確認する必要があります。
最初に長屋の所有形態を確認する
長屋には、主に次のような所有形態があります。
- 一人の所有者が一棟全体と土地を所有している
- 連なった住戸ごとに土地・建物の所有者が異なる
- 建物が区分所有になっている
- 土地を複数人で共有している
- 借地上に長屋が建っている
- 相続登記が終わらず、亡くなった方の名義になっている
一棟全体を一人で所有している場合は、比較的方針を決めやすい一方、一戸だけを所有する場合は、屋根、戸境壁、外壁、防水、配管などが隣接住戸と関係することがあります。
共有・区分所有の長屋を改修する場合も、工事箇所や権利関係によって、ほかの所有者との調整が必要になります。
まず登記事項証明書、公図、建物図面、固定資産税関係書類を確認し、自分がどこまで所有し、どこまで単独で決められるのかを明らかにしましょう。
なぜ長屋の活用が検討されているのか
現在の空き家政策では、危険になった建物を除却するだけでなく、利用できる状態の空き家を早期に活用することも重視されています。
2023年施行の改正空家法では、市区町村が中心市街地や住宅団地などを「空家等活用促進区域」として定め、所有者への活用要請や、一定の接道・用途規制の合理化を検討できる仕組みが設けられました。
ただし、これは全国の長屋に一律の特例を設ける制度ではありません。
実際に利用するには、所在地の市区町村が区域を指定していることや、自治体の活用促進指針、建築物の安全性などの条件を満たす必要があります。
また、国土交通省近畿地方整備局は、住宅、交流施設、店舗、移住体験施設、事業拠点などへ空き家を活用した事例を紹介しています。
これらは、既存建物を別の用途へ活用する方法があることを示していますが、すべてが長屋の事例ではなく、同様の改修をすれば収益が出ることを保証するものでもありません。
大阪市には長屋を対象とする改修補助がある
大阪市では2026年度も、一定の空き家を住宅や地域の居場所として活用する「空家利活用改修補助制度」を実施しています。
対象となる建物の主な条件は次のとおりです。
- 大阪市内にある民間住宅
- 戸建てまたは長屋建てである
- 2020年5月31日以前に建築されている
- 3か月以上空き家である
- 売却用・賃貸用として市場に出ていない
- 売却を前提とした改修ではない
- 必要な耐震性を確保する
- 工事契約や着手の前に申請する
共同住宅は、この制度の対象外です。一般に長屋や文化住宅と呼ばれていても、建築上の種類が共同住宅であれば対象になりません。
補助には、主に二つの活用方法があります。
住宅再生型
バリアフリー、省エネルギー、子育て世帯向け設備など、住宅性能の向上につながる改修を行い、住宅として使用する方法です。
地域まちづくり活用型
子ども食堂、高齢者サロン、地域交流の場など、地域に開かれた用途へ改修する方法です。
利用には区役所との事前協議が必要です。
長屋の耐震性が不足している場合、補助制度上は原則として棟全体で耐震性を確保する必要があります。
耐震改修工事を行う長屋は、原則として棟単位で申請し、ほかの所有者や居住者との調整・同意が求められます。
これは大阪市の補助制度を利用する場合の条件であり、すべての長屋の売却や改修に適用される全国共通の義務ではありません。
また、大阪市の制度は、奈良市、生駒市、大和郡山市、橿原市、香芝市など奈良県内の長屋には利用できません。
奈良県内の物件では、所在地の市町村に耐震改修、空き家活用、除却などの支援制度があるかを個別に確認します。










