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低未利用地対策で売れにくい土地はどう変わる?100万円控除と2026年の支援策を解説

低未利用土地の100万円控除とはどのような制度か、2024年の確認書交付実績4,817件、2026年度の所有者不明土地等対策モデル事業から解説。

奈良県内の空き地、相続土地、売れにくい土地の整理方法も紹介します。

相続した土地や、長期間使っていない空き地について、「価格が低いため売却しても意味がない」「買主が見つからないので持ち続けるしかない」と考えることがあります。

利用されていない土地は、売却価格に対して測量費、草刈り費、仲介手数料などの負担が相対的に大きくなり、取引を進めにくい場合があります。

こうした課題に対応するため、国は低未利用土地の譲渡に関する税制や、地域による利活用・管理の取組を支援しています。

ただし、制度があるからどの土地でも売れるようになるわけではありません。

大切なのは、その土地が制度の対象になるか、誰が何に利用できるか、売却を妨げる条件は何かを整理することです。

低未利用土地とは何か

低未利用土地とは、居住、事業などに十分利用されていない土地や、周辺の同じような用途の土地と比べて利用の程度が著しく低い土地を指します。

代表的な例として、次のような土地があります。

  • 長期間使われていない空き地
  • 空き家や空き店舗が建っている土地
  • 利用の程度が低い資材置場や駐車場
  • 一定の耕作放棄地

単に価格が安い土地や、買主が見つからない土地が、すべて税制上の低未利用土地等になるわけではありません。

特例を利用するには、都市計画区域内にあることや、譲渡前の利用状況、譲渡後の買主の利用予定などについて、所在地の市区町村から確認書の交付を受ける必要があります。

100万円控除はどのような制度か

低未利用土地等の100万円控除は、個人が一定の低未利用土地等を売却した場合に、長期譲渡所得から最大100万円を控除する制度です。

100万円が給付されるわけではありません。

例えば、売却による長期譲渡所得が80万円であれば、控除できる金額の上限は80万円です。

取得費や譲渡費用を差し引いた結果、譲渡所得が発生しなければ、控除による税負担の軽減効果も生じません。

制度は2020年7月に始まり、現在は2028年12月31日までの譲渡が適用対象となっています。

主な要件は次のとおりです。

  • 売主が個人である
  • 都市計画区域内の低未利用土地等である
  • 売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている
  • 売却代金が原則500万円以下である
  • 一定の区域では売却代金が800万円以下である
  • 親子、夫婦など特別な関係にある人への売却ではない
  • 買主が取得後に土地を利用する予定である
  • 市区町村から低未利用土地等確認書の交付を受ける
  • 確定申告を行う

土地上に空き家などがある場合、価格要件は土地だけの価格ではなく、土地と建物などの譲渡対価の合計額で判定されます。

800万円以下になるのは一定の区域だけ

価格要件は、すべての土地で800万円以下になるわけではありません。

原則は500万円以下ですが、次のような一定の区域では800万円以下まで対象が拡大されています。

  • 市街化区域
  • 用途地域が設定されている区域
  • 所有者不明土地対策計画を作成した市町村の一定の区域

所在地がどの区域に当たるかは、市区町村の都市計画担当窓口などで確認する必要があります。

売出価格が800万円以下だから対象になるというものではなく、最終的な譲渡対価や、そのほかの要件も満たさなければなりません。

 

4,817件は「2024年の確認書交付件数」

国土交通省が2026年3月31日に公表した資料によると、2024年中に自治体が交付した低未利用土地等確認書は4,817件でした。

すべての都道府県で交付実績があり、確認書交付案件のうち、譲渡前の状態は空き地が49.6%、空き家が37.9%でした。譲渡後の利用用途は住宅が72.1%となっています。

これらの数字から、使われていなかった土地や空き家が、実際に利用する人へ譲渡された事例が全国にあることは分かります。

一方で、次の点には注意が必要です。

  • 4,817件は2026年の実績ではなく、2024年の実績
  • 確認書交付案件に限った集計
  • 確認書交付後に税務要件を満たさない場合がある
  • 特例の最終的な適用件数とは一致しない可能性がある
  • 全国すべての低未利用土地の売れやすさを示す統計ではない

したがって、「空き地の約半分が売れた」「売れにくい土地の7割以上が住宅になった」という意味ではありません。

制度によって土地の価値が上がるわけではない

100万円控除は、売主の税負担を軽減し、低額な土地の取引を進めやすくする制度です。

しかし、制度によって土地の接道、形状、地盤、地域需要などが改善するわけではありません。

次のような条件がある土地は、税制が利用できても買主が限定される場合があります。

  • 建築基準法上の道路に接していない
  • 接道幅が不足している
  • 私道の通行・掘削条件が不明
  • 境界や越境に問題がある
  • 市街化調整区域にある
  • 農地転用などの手続きが必要
  • 狭小地や著しい変形地である
  • 擁壁や排水に問題がある

売れにくい土地を動かすためには、控除制度を調べるだけでなく、利用を妨げている条件を明らかにする必要があります。

「譲渡後の利用」が重要になる

低未利用土地の特例では、買主が取得後に土地を利用する予定であることが求められます。

住宅の建築、店舗・事務所としての利用、隣接地と一体にした利用などが考えられますが、単に使わないまま保有する目的や、利用せずに転売するだけの計画では、原則として制度の趣旨に合いません。

そのため、土地を売り出すときは「一般の住宅用地」として広告するだけではなく、その土地で実現できる利用方法を整理することが重要です。

例えば、一般の住宅購入者には使いにくい土地でも、隣地所有者には次のような利用価値がある場合があります。

  • 庭や通路の拡張
  • 駐車スペースの確保
  • 建物の離隔距離の確保
  • 敷地形状の改善
  • 接道条件の改善

どの用途が可能かは、都市計画、建築、農地、接道などの条件によって異なるため、事前確認が必要です。

2026年度のモデル事業は8件を採択

国土交通省は2026年7月13日、所有者不明土地や低未利用土地の円滑な利活用、適正管理などに関する先導的な取組として、2026年度の所有者不明土地等対策モデル事業8件を採択しました。

市町村や民間事業者などの取組費用の一部を支援し、得られた知見を今後の政策へ活用する事業です。

ただし、このモデル事業は、土地を所有する個人全員が直接利用できる売却補助制度ではありません。

採択された地域や事業者による先導的な取組を支援するものであり、自分の土地が対象事業に含まれるかは個別に確認する必要があります。

100万円控除とモデル事業は、どちらも低未利用土地に関係しますが、目的と利用方法が異なります。

売れにくい土地を見直す6つのポイント

売れにくい土地を所有している場合は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

1.名義と共有関係

相続登記が済んでいるか、共有者全員が売却に同意しているかを確認します。

2.接道と建築条件

道路種別、接道幅、セットバック、再建築の可否を調べます。

3.境界と私道

境界標、越境、私道持分、通行・掘削条件を確認します。

4.現在の利用状態

空き地、空き家、資材置場、駐車場など、低未利用土地等に該当する可能性があるかを自治体へ確認します。

5.買主の利用方法

住宅用地、隣地との一体利用、駐車場、事業用地など、現実的な利用方法を検討します。

6.売却後の税金

取得費、譲渡費用、所有期間、100万円控除の要件を確認し、手取り額を試算します。

市区町村が低未利用土地等確認書を交付しても、最終的な税務判断をするのは税務署です。

契約前に自治体へ確認し、必要に応じて税理士へ相談することが大切です。

売れにくい土地の出口は一つではない

土地の条件に応じて、次の方法を比較します。

  1. 条件を明示して一般市場で売却する
  2. 隣地所有者へ提案する
  3. 土地の一部を分筆して売却する
  4. 現状のまま直接買取を依頼する
  5. 管理を継続し、一定期間後に再検討する
  6. 民間での売却が難しい場合は、不動産引取などを比較する

分筆、測量、造成、草刈りなどへ先に費用をかけても、その費用を売却価格で回収できるとは限りません。

まず現状での価格と条件を確認し、必要な費用を差し引いた手取り額で比較することが重要です。

奈良市、生駒市、大和郡山市、橿原市、香芝市、大和高田市をはじめ、奈良県内でも、空き地、相続土地、農地、無接道地、狭小地などの市場性は、接道、用途地域、地域需要、土地形状によって異なります。

株式会社マイダスでは、相続した土地、長期間使われていない空き地、再建築不可の土地、狭小地、変形地、私道が関係する土地について、名義、接道、境界、管理負担などを確認し、一般市場での売却、隣地への提案、現状での直接買取、不動産引取を比較してご案内しています。

低未利用地対策は、売れにくい土地の価格や条件を自動的に改善するものではありません。

一方で、利用する意思のある買主へ低額な土地を譲渡する際に、売主の税負担を軽減し、地域の先導的な利活用を支援する仕組みは整えられています。

「制度があるから売れる」と考えるのではなく、土地の条件、利用できる買主、必要経費、税制の要件を順番に整理することが、売れにくい土地を動かすための現実的な第一歩です。

 

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