相続空き家を売却するときの注意点|価格より先に確認したい名義・管理・税金
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- 2026/08/30
相続空き家を売却するときの注意点を、相続登記、共有関係、建物状態、管理不全空家、住宅用地特例、空き家の3,000万円特別控除から解説。大阪府内の築古住宅や家財が残る実家の相談にも対応します。
相続した実家や古い戸建を売却するとき、多くの方が最初に気になるのは「いくらで売れるのか」という点です。
しかし、相続空き家では、価格を確認する前に、誰が売主になるのか、土地と建物の名義が整っているか、建物や接道の状況を説明できるかといった確認が必要です。
買主が見つかっても、名義や相続人間の合意が整っていなければ、契約や引渡しの段階で手続きが止まることがあります。
相続空き家の売却では、まず**「高く売れるか」ではなく「法的・物理的に売れる状態になっているか」**を確認することが大切です。
全国の空き家は900万2,000戸
総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万2,000戸、空き家率は13.8%となり、いずれも過去最高でした。
このうち、賃貸用・売却用および二次的住宅を除く空き家は385万6,000戸です。
ただし、この統計には地域、建物状態、空き家になった経緯が異なる住宅が含まれています。
空き家が増えているからといって、相続した実家が必ず売れにくいとは限りません。
実際の売却可能性は、立地、接道、土地面積、再建築の可否、建物状態、価格などによって個別に異なります。
1.土地と建物の名義を確認する
相続空き家を売却する前に、土地と建物の登記事項証明書を取得し、現在の所有者を確認します。
相続登記は2024年4月1日から義務化されました。相続人は、自己のために相続が始まったことと、その不動産の所有権を取得したことを知った日から、原則として3年以内に申請する必要があります。
遺産分割が後から成立した場合は、成立日から3年以内に、その内容を反映した登記も必要です。
正当な理由なく義務を怠ると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
2024年4月1日より前に発生した相続で、亡くなった方の名義のままになっている不動産も対象です。
期限は状況によって異なりますが、最も早い期限は2027年3月31日です。
2.相続人申告登記だけでは売却できない
遺産分割がまとまらず、期限内に通常の相続登記を行うことが難しい場合は、相続人申告登記によって基本的な申請義務を履行できることがあります。
ただし、相続人申告登記は、誰が最終的にその不動産を取得したのかを公示する登記ではありません。
相続した不動産を売却したり、抵当権を設定したりする場合は、別途、正式な相続登記が必要です。遺産分割成立後の追加的な登記義務についても、相続人申告登記だけでは履行できません。
相続登記の完了前でも、不動産会社への相談、査定、建物調査は進められます。
登記の準備と物件調査を並行し、売買の引渡しまでに売主となる相続人への登記を整えるのが現実的です。
3.誰が売却するのかを決める
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議によって、誰が不動産を取得するのかを決めます。
共有名義になっている不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。
売却価格だけでなく、次の内容も相続人間で確認しておきましょう。
- 仲介手数料や測量費を誰が負担するか
- 家財処分費や解体費を先に支払うか
- 売却代金をどのように分けるか
- 譲渡所得の申告を誰が行うか
- 売却までの管理を誰が担当するか
「売ることには賛成している」と思っていても、価格や費用負担で意見が分かれることがあります。
売却活動に入る前に、相続人全員の方針を確認することが大切です。
4.建物だけでなく土地条件も調べる
相続空き家が売れにくい原因は、築年数や室内状態だけとは限りません。
売却前には、少なくとも次の内容を確認します。
- 建築基準法上の道路に接しているか
- 接道幅を満たしているか
- 再建築できる土地か
- 私道持分や通行・掘削条件があるか
- 境界標や越境に問題がないか
- 未登記建物や増築部分がないか
- 抵当権、差押え、借地権がないか
- 雨漏り、傾き、シロアリ被害がないか
- 給排水設備や電気設備を使用できるか
- 家財や廃棄物がどの程度残っているか
分からないことを無理に断定する必要はありません。
重要なのは、確認できたことと不明なことを分け、買主が購入後の修繕費や利用条件を判断できるようにすることです。
5.売却活動中も管理を続ける
空き家は、人が住んでいないというだけで、直ちに問題になるわけではありません。
ただし、見回りや点検が不足すると、雨漏り、湿気、外壁の損傷、庭木の越境などの発見が遅れる可能性があります。
売却を依頼した後も、買主への引渡しが終わるまでは、所有者が次のような管理を続ける必要があります。
- 建物内外の定期点検
- 換気や通水
- 草刈り、庭木の剪定
- 郵便物の確認
- 屋根、外壁、塀の危険箇所の確認
- 台風や大雨の後の見回り
遠方に住んでいて管理できない場合は、親族や空き家管理事業者へ依頼する方法もあります。
6.住宅用地特例が外れる条件を正しく知る
住宅が建っている土地には、固定資産税などの負担を軽減する住宅用地特例があります。
200㎡以下の小規模住宅用地では、原則として固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されます。
空き家になっただけで、この特例が直ちに外れるわけではありません。
ただし、管理不全空家等または特定空家等として市区町村から指導等を受け、改善しないまま勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から除外されます。
また、建物が構造上住宅と認められない状態にある場合や、今後居住に使用される見込みがないと認められる場合は、空家法上の勧告とは別に、住宅用地に該当しないと判断される可能性があります。
特例が外れても実際の固定資産税額が単純に6倍になるとは限りませんが、保有負担が増える可能性があります。
7.空き家の3,000万円特別控除を確認する
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産に係る特別控除」を利用できることがあります。
これは売却代金から3,000万円を差し引く制度でも、3,000万円を受け取れる制度でもありません。
売却によって生じた譲渡所得から控除する制度です。
現行制度では2027年12月31日までの譲渡が対象です。
2024年1月1日以後の譲渡で、対象不動産を取得した相続人が3人以上の場合は、一人当たりの控除上限が2,000万円になります。
主な要件は次のとおりです。
- 1981年5月31日以前に建築された家屋である
- 区分所有建物ではない
- 相続開始直前に、原則として亡くなった方以外が住んでいなかった
- 相続から売却まで、居住・賃貸・事業利用をしていない
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
- 売却代金が1億円以下である
- 一定の耐震基準を満たすか、家屋を取り壊す
亡くなった方が老人ホームなどに入居していた場合でも、要介護認定や家屋の利用状況など一定の条件を満たせば、対象になることがあります。
8.買主が売却後に解体する場合も対象になり得る
2024年1月1日以後の譲渡では、売却時点で家屋が耐震基準を満たしていなくても、買主が譲渡した年の翌年2月15日までに耐震改修または家屋の全部を取り壊すことで、空き家特例を利用できる場合があります。
ただし、買主が期限までに工事を行わなければ、売主が特例を利用できなくなる可能性があります。
この方法を利用する場合は、売買契約書に工事期限、必要書類の提供、未実施の場合の対応などを盛り込み、税理士や不動産会社と慎重に進める必要があります。
9.空き家特例は確定申告が必要
空き家の3,000万円特別控除は、自動的に適用される制度ではありません。
確定申告書に譲渡所得の内訳書、登記事項証明書に関する書類、売買契約書、市区町村が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」などを添付する必要があります。
また、同じ売却について、相続税の取得費加算の特例などを併用することはできません。
どちらが有利になるかは、取得費、相続税額、売却価格などによって異なるため、契約前に税理士へ確認することが大切です。
家財処分や解体は査定後に判断する
相続空き家に家具、衣類、食器などが残っていても、売却前に必ずすべて処分しなければならないわけではありません。
家財を残したまま買い取る事業者もあるため、先に処分費を支払うより、現状で査定を受けた方が負担を抑えられる場合があります。
解体についても同様です。
更地にすれば必ず高く売れるとは限らず、再建築不可物件では、現在の建物を取り壊すことで利用価値が下がる可能性があります。
空き家特例の要件や住宅用地特例への影響もあるため、解体前に次の方法を比較しましょう。
- 古家付きのまま一般市場で売却する
- 最低限の管理や補修をして売却する
- 買主による解体を条件に売却する
- 家財が残ったまま直接買取を依頼する
- 隣地所有者へ提案する
相続空き家を売却する基本の順番
相続空き家は、次の順番で整理すると手続きを進めやすくなります。
- 相続人と遺言書を確認する
- 土地・建物の名義と共有関係を確認する
- 遺産分割と相続登記を進める
- 接道、境界、私道、再建築の可否を調査する
- 建物状態と家財の状況を確認する
- 現状での査定を受ける
- 空き家特例などの税制を確認する
- 仲介売却、直接買取、引取などを比較する
大阪市、堺市、東大阪市、八尾市、豊中市、枚方市、岸和田市、泉佐野市など大阪府内でも、相続空き家の売却条件は、立地、接道、建物状態、土地面積によって異なります。
株式会社マイダスでは、相続した実家、築古戸建、長屋、文化住宅、再建築不可物件について、名義、接道、建物状態、家財、管理負担などを確認し、一般市場での売却、古家付き土地としての販売、現状での直接買取、不動産引取を比較してご案内しています。
相続空き家を売却するときは、売却価格だけを先に考えるのではなく、誰が売るのか、買主へ何を説明できるのか、どの税制を利用できるのかを順番に確認することが重要です。
相続登記、管理、土地・建物の調査、税制を整理することで、「売れるか分からない空き家」から「具体的な売却方法を比較できる空き家」へと変えていくことができます。










