相続したアパートの管理が難しいときの考え方
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- 2026/07/18
家賃が入っていても、そのまま持ち続けるのが正解とは限りません
相続したアパートの管理が難しいときの考え方を、相続登記義務化、賃貸住宅管理業のルール、老朽ストック政策、空き家・空室問題の流れをもとに分かりやすく解説します。相続登記は取得を知った日から3年以内が義務です。
相続でアパートを引き継いだとき、多くの方は最初に「家賃が入っているから、しばらくこのままでよいのではないか」と考えます。
たしかに、戸建の空家と違って、アパートは収入があるため、すぐに整理しなくてもよさそうに見えます。
しかし実際には、相続したアパートは 収益不動産であると同時に、管理責任の重い不動産 でもあります。
しかも今は、相続登記の義務化や、賃貸住宅管理業のルール整備、老朽ストックの見直しが進んでおり、「とりあえず持つ」が以前より難しくなっています。
まず最初に確認したいのは、名義がどうなっているか です。
法務省は、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があると案内しています。
遺産分割が後で成立した場合にも、成立日から3年以内にその内容に応じた登記が必要です。
正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の可能性があります。アパートであっても、この基本は戸建や土地と同じです。
つまり、家賃収入があるから後回しにしてよいのではなく、まず相続人として正式に名義を整えること が出発点になります。
次に考えたいのが、そのアパートを自分で管理できるのか という点です。
国土交通省の賃貸住宅管理業法関連資料では、賃貸住宅管理業に登録制度が導入され、管理受託契約やサブリース契約について一定のルールが設けられています。2026年の有識者会議取りまとめでも、登録業者は約1万業者を超え、制度は定着しつつある一方で、入居者ニーズの多様化により管理業務は複雑化しているとされています。
つまり今のアパート経営は、単に家賃を集めればよい時代ではなく、法令・契約・入居者対応まで含めた管理が必要な時代 です。
特に相続後に問題になりやすいのは、家賃収入は見えるが、支出と手間が見えにくいこと です。
たとえば、
- 空室が増えていないか
- 修繕費が先送りされていないか
- 管理会社の内容は妥当か
- サブリース契約に不利な条件がないか
- 入居者対応や退去時対応はどうなっているか
といった点は、相続人がすぐには把握しにくいことがあります。
国土交通省は、サブリース事業について勧誘や契約時の規制を設け、ガイドラインやFAQも公表しています。
これは、賃貸住宅経営が「契約を結んで終わり」ではなく、継続的に確認すべき管理事項が多い ことの裏返しでもあります。
さらに、相続したアパートが古い場合は、今後も持ち続ける意味があるのか も考えなければなりません。
国土交通省の住生活基本計画では、賃貸住宅ストックの質の向上や建替え促進が必要であり、老朽化したストックについては計画的な建替えや長寿命化に向けた改善が求められるとされています。
また、住生活基本計画見直し論点では、旧耐震基準や省エネ基準未達成の住宅ストックが多く、管理不全の空き家も増加していると整理されています。
つまり、古いアパートは「まだ建っている」だけでは不十分で、この先どこまで維持・改善できるか が問われます。
ここで大切なのは、相続したアパートを持ち続ける判断は、黒字か赤字かだけでは決められないということです。
表面上は家賃が入っていても、今後必要になる外壁、屋根、給排水、共用部の改修費、空室率の悪化、管理会社変更の必要性などを考えると、実質的には負担が重いことがあります。
国土交通省の住生活基本計画でも、比較的利便性の高い既成住宅地では、今後増加が見込まれる相続空き家等を若年・子育て世帯向けの住宅として活用するなど、既存ストックをどう循環させるか が重視されています。
これは、ただ持つより、活用・売却・建替えも含めて判断すべきという方向です。
では、相続したアパートの管理が難しいとき、何を整理すればよいのでしょうか。
少なくとも次の点は確認したいところです。
- 名義と相続登記の状況
- 現在の入居率と空室率
- 家賃収入と実際の支出
- 管理会社との契約内容
- サブリースの有無
- 修繕履歴と今後の大規模修繕見込み
- 建物の耐震性や老朽化の程度
- 売却した場合と持ち続けた場合の比較
今の制度を見ると、管理会社を使う場合でも、登録業者であることや契約内容の透明性が重要になっています。
国土交通省の2026年取りまとめでも、「登録業者を選ぶメリット」を家主や入居者に伝える必要があるとされており、管理の質そのものが重視されています。つまり、相続したアパートでは 誰に任せるか も大きな判断材料です。
相続したアパートの管理が難しいときに必要なのは、「すぐ売る」と決めることではありません。
まずは、本当に管理を続けられる条件があるのか を整理することです。
名義が未整理、契約内容が不明、修繕負担が読めない、入居率が下がっている、管理会社任せで実態が見えていない、といった状態なら、持ち続ける判断自体が危うくなります。
反対に、立地需要があり、管理体制も整い、今後の修繕計画も見えているなら、持ち続ける選択にも意味があります。
大事なのは、アパートを「家賃が入るから大丈夫」と見るのではなく、収益・管理・将来負担を含めた事業用不動産として見直すこと です。

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